花粉症の症状は人それぞれ。自分はどのタイプ?
春のスギ・ヒノキ、夏のイネ科植物、秋のキク科植物。毎年花粉シーズンになると、鼻や目のつらい症状に悩まされている方に読んでいただきたい花粉症治療のおはなしです。花粉症の漢方治療と、つらい季節を乗り切る工夫をご紹介します。
花粉症は花粉が原因で起こるアレルギー疾患
花粉症とは、花粉が原因で起こるアレルギー疾患です。空位中を浮遊するスギやヒノキ、ブタクサ、ヨモギなどの花粉がアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)をなって体内に侵入すると抗体が作られ、再びアレルゲンが侵入してきたときにそれを排除しようと過敏に働き、くしゃみ・鼻水などの症状があらわれます。
参照:環境省・厚生労働省「花粉症対策」
花粉症の症状は、主に鼻と目にあらわれます。
花粉症の症状
- 鼻の症状
くしゃみ、鼻水、鼻づまり
- 目の症状
目のかゆみ、涙目、結膜の充血
鼻・目の症状以外では、喉のイガイガ感や咳、皮膚の発赤やかゆみ、頭痛、微熱やだるさなどの全身症状があらわれる場合もあります。
花粉症治療の基本は、花粉を回避して薬物療法で症状を抑える
花粉症の治療の基本は、アレルゲンである花粉を回避することです。薬物療法は、アレルギー症状を抑える内服薬や点鼻薬、点眼薬を使用します。その他、レーザー治療やアレルゲン免疫療法があります。
薬物療法
- くしゃみ・鼻水
アレルギー薬、ステロイド薬、漢方薬・その他
- 鼻づまり
アレルギー薬、気管支拡張薬、ステロイド薬、漢方薬・その他
- 目の症状
点眼剤(アレルギー薬、ステロイド薬)、漢方薬・その他
漢方の視点から見た「花粉症」、原因は「水」の停滞
それでは、漢方の視点で花粉症の原因と治療について考えてみましょう。漢方では、花粉症は「水」の停滞によって起こると考えます。食生活の乱れや精神的ストレス・過労などにより、からだの機能に乱れが生じ、水分の代謝が悪化して、体内に余分な「水(水分)」が停滞します。そこに花粉が侵入することで、停滞していた余分な水分が鼻水や涙となってあふれ出ます。漢方では、体内の水分バランスを調節したり、からだを温めることで花粉症を治療します。
参照:Kampoful Life by クラシエの漢方「毎年、【鼻炎】の症状に悩むのは「水滞」が原因?漢方の知恵で鼻詰まり・花粉症・蓄膿症を改善!」
その花粉症、「寒証」それとも「熱証」?
「鼻水があふれ出して止まらない」「鼻づまりがひどくて息が苦しい」花粉症の症状のあらわれ方は人それぞれです。漢方では、体質や体力に目を配り、花粉症のタイプにあった薬を使い分けます。あなたの花粉症は、鼻水のひどい「寒証タイプ」と鼻づまりのひどい「熱証タイプ」のどちらですか?
鼻水のひどい寒証タイプは、連続して何度も起こるくしゃみ、透明な鼻水が止まらないのが特徴です。朝起きてすぐの症状が激しく、外で冷たい風にあたると症状が出ます。
鼻づまりのひどい熱証タイプは、鼻づまりがひどく、完全につまると口で息をしています。そのため鼻や口が乾燥して、喉が痛み、空気の乾燥や暑さで症状が悪化します。
鼻水のひどい「寒証タイプ」の人は、からだが冷えて余分な水分が停滞している状態のため、からだを温めて、吐く息や汗として水分を外へ出す必要があります。鼻づまりのひどい「熱証タイプ」の人は、鼻に余分な熱がこもり、炎症を伴う状態のため、熱を冷ます必要があります。
参照:Kampoful Life by クラシエの漢方「春の花粉症は4タイプ。おすすめの漢方薬をタイプ別にやさしく紹介!」
花粉症の治療に使われる漢方薬
「寒証タイプ」「熱証タイプ」それぞれで使用される漢方薬を紹介します。
鼻水のひどい「寒証タイプ」
小青竜湯
- 水のようなさサラサラした鼻水
- 無色透明な鼻水
- くしゃみが一日に何度も出る
- からだが冷えるとひどくなる
葛根湯加川芎辛夷
- 鼻づまりが強い
- 無色~白色、少し粘り気のある鼻水
- お風呂などで温まると、鼻づまりが軽減される
- くしゃみ・鼻水が治まっても鼻づまりだけが残る
鼻づまりのひどい「熱証タイプ」
辛夷清肺湯
- 鼻づまりがひどく、匂いが分からない
- 鼻に乾燥感や熱感がある
- 粘り気のある鼻水
- 頭痛や鼻の痛み
参照:桑木 崇秀 著「健保適用エキス剤による漢方診療ハンドブック」増補改訂版(第4版), 創元社, 2012.
ご自身の症状タイプに合った漢方薬を専門の施設へ相談してみてください。
自分でできる花粉症対策 花粉の回避と、抵抗力の低下を防ぐ食生活の見直し
花粉症対策では、花粉を避けることが大切です。からだの抵抗力を高めるためには、食生活を見直し、バランスのよい食事を心がけましょう。抵抗力の低下を防ぐために、お酒やタバコを控え、睡眠時間を十分にとり、ストレスをためないようにしましょう。
参照:大久保公保監修「的確な花粉症の治療のために」
1.花粉症のキッチン薬膳
漢方では、冷たいものを摂り過ぎると、からだの機能が乱れると考えます。食材にはからだを温めたり、冷やしたり、それぞれの性質があります。それらをからだの状態にあわせて摂り入れることで、病気を治したり、予防することを薬膳といいます。
参照:日本安全食料料理協会 コラム「薬膳とは?普通の料理との違い」
薬膳というと、少し難しいイメージがありますが、身近な食材には薬膳の材料になるものがたくさんあります。自分で作れるキッチン薬膳を楽しみながら工夫してみませんか?
- くしゃみ・鼻水が多い場合
ショウガ汁をぬるま湯で割ったものを毎日飲んでみる。
- 目の充血やかゆみが続く場合
ハッカ(ミント)のお茶を毎日少しずつ飲んでみる。
2.花粉の季節のセルフケア
花粉の季節に外出する際は、マスクやメガネ、花粉を払いやすいコートなどを着用しましょう。帰宅時には、玄関先で衣服や髪についた花粉を払い落とし、うがい・洗顔をして鼻をかみましょう。部屋の掃除はこまめにし、洗濯物を取り込むときも花粉を払い落としましょう。
参照:大久保公保監修「的確な花粉症の治療のために」
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