認知症の症状を改善する漢方薬とは?

厚生労働省によると、日本での認知症高齢者の数は2012年の時点で全国に約462万人と推計されており、2025年には700万人を超えると報告されています。
これは65歳以上の高齢者のうち、5人に1人は認知症であるという計算になります。

認知症の患者さんには「中核症状」といわれる記憶障害や判断力の障害のような症状のほかに、周囲の人との関わりの中で問題となる「周辺症状(BPSD)」があります。
周辺症状には、幻覚、妄想、暴力、徘徊などがありますが、こうした言動や行動につき合うのはとても大変なことで、介護をする人が疲れ果ててしまうことも少なくありません。
それらの症状を改善する漢方薬に「抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンビハンゲ)」があります。
神経の興奮状態を鎮めてイライラや不安を改善し、穏やかな生活をとりもどす手助けをしてくれます。


抑肝散加陳皮半夏の効果と特徴
これまで認知症の周辺症状に対しては抗精神薬、抗不安薬などの西洋薬が使用されてきました。
抗精神薬の中には身体の活動すべてを鈍らせてしまう作用が出てしまうものもあります。
それに対して漢方薬には、副作用が少なく、日常生活動作を低下させることなく困った症状だけを抑えていくという特徴があります。

「抑肝散加陳皮半夏」は「抑肝散(ヨクカンサン)」に「陳皮(チンピ)と「半夏(ハンゲ)」という生薬を加えた漢方薬です。「抑肝散」は神経の興奮状態を鎮めてイライラや不安を改善し、穏やかな生活をとりもどす手助けをしてくれます。
また、「陳皮」と「半夏」を加えることで消化器症状への配慮もされており、日本独自の処方である抑肝散加陳皮半夏の使用は消化器症状の低下した高齢者の方にはより適した漢方薬であると考えられています。

抑肝散加陳皮半夏の適するタイプ
以下のような症状を伴う場合に用います。
・イライラ、怒りっぽい、神経質
・眠れない、ふらつき
・悪心・嘔吐
・胸脇苦満(胸から脇にかけて重苦しい状態)
・胃部膨満感、食欲不振
・腹軟弱、左臍傍に動悸
・手足のふるえ、しびれ感


介護者に多大な負担をかける認知症介護
介護認知症患者が増加すれば、それに伴って患者さんを介護する介護者も増えてきます。
認知症の患者さんは幻想や妄想、暴力、徘徊、イライラして周りにあたるなどの症状を持ち、介護者の大きな精神的負担となっています。
介護者の約7割が介護ストレスを感じているという厚生労働省のデータもあり、アルツハイマー型認知症における介護ストレスの理由としては「単純な会話ができない」などの症状のほかに、「暴言を受けて患者と衝突する」「お金がなくなったと騒がれる」「患者がいなくなるかもしれない不安で外出できない」などが挙げられます。
認知症の周辺症状を漢方薬で抑えることができれば、認知症患者がその人らしい生活を送ることができ、日々の介護者のストレスを軽減するうえで大きな助けとなります。
周辺症状がみられた場合はがまんせずにお医者さんに相談してください。

また、高齢の患者さんの場合、「薬の飲み忘れ」も問題となっています。
認知能力の低下によって飲み忘れるケースや、複数の医療機関に通っている患者さんが多くの薬を処方されて管理しきれなくなる、という問題があります。
1日1回、1日2回服用の患者さんと比べ、1日3回服用の患者さんの飲み忘れ率が高いという調査結果が出ており、1日の投与回数が少ないほど服薬コンプライアンス(患者さんが薬剤を規定どおりに服薬すること)がよくなることが分かっています。
その点において、抑肝散加陳皮半夏には、1日2回服用のものがあり、飲み忘れのリスクを減らすことができます。

漢方薬もその他の西洋薬と同様に決められた量と回数をしっかりと守ることが大切です。
漢方

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