常に全身に冷えを感じ、排尿も時間がかかります…
手足や腰、全身の「冷え」に対応する漢方薬
冬は日増しに寒さが加わり、「冷え」に悩む人には厳しい季節です。女性に多いとされる冷え症ですが、症状に適した漢方薬を用いることで「冷え」を改善することができます。
Q常に全身に冷えを感じ、排尿にも時間がかかります
また、近日退院したばかりの会社の先輩は、疲れやすく体が芯から冷えて困っているとか。これらの症状に適した漢方薬はありますか?
A虚弱タイプに『八味地黄丸』、気血不足タイプは『十全大補湯』
お祖父様の症状は “腎虚タイプ”の冷えで、全身が冷えることが特徴です。特に、年齢とともに体が冷えるようになった、排尿に時間がかかる、といった症状をともなうことが多く、そのような場合には 八味地黄丸(はちみじおうがん) が適しています。この薬は、老化の原因である腎の働きを活発にしながら、老化にともなう冷えや排尿異常などを改善します。
先輩の場合は、全身が冷える“気血不足タイプ”の冷え症です。病後の体力低下や虚弱体質による冷えの症状には 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) が効果的です。衰えた体に活力を与え滋養することで、倦怠疲労をともなう冷えの症状を改善します。
- 漢方メモ
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「実」の冷えと「虚」の冷え
私たちの体の中には、陽気というエネルギーが全身をめぐっています。陽気は経絡という通路を通りながら、全身を温める働きをしています。ところが何かの原因で陽気が滞ったり不足したりすると、体を温めるエネルギーが不足して冷えが生じます。
冷えの原因は「実」の冷えと「虚」の冷えに分けられ、「実」の冷えは、経絡を流れる陽気が滞り、円滑に流れなくなって起こります。最も大きな原因は冷えそのもの。冷えを受けると体が収縮するだけでなく、経絡も収縮して陽気の流れが悪くなります。そのため栄養やエネルギー物質が体内に行き渡らなくなって冷えが生じるのです。「実」の冷えは手足や腰など“部分が冷える”ことが特徴です。
一方「虚」の冷えは、陽気そのものの不足によって起こります。原因は加齢による場合と、虚弱体質や体力低下による場合があります。「虚」の冷えは“全身が冷える”という特徴があります。
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