日本人の多くが頭痛持ち。頭痛は「気」・「血」・「水」の異常が関係しています
頭痛は誰でも経験したことがある身近な痛みのひとつです。原因となる病気がないのに、突然あるいは定期的に襲ってくる頭痛にお悩みの方に読んでいただきたい、頭痛の予防と治療のおはなしです。日常生活に取り入れたい予防策や対処法をご紹介します。
頭痛は大きく2種類 「一次性頭痛」と「二次性頭痛」
頭痛は多くの方が経験する身近な症状ですが、一時的に起こるものや慢性的に繰り返し起こるものなど様々です。日本では慢性頭痛を有する人は約4000万人と推定されています。
頭痛は大きく、一次性頭痛と二次性頭痛の2つに分類できます。
一次性頭痛は慢性頭痛ともいい、原因となる病気がない頭痛です。主な種類として「片頭痛」、「緊張性頭痛」、「群発頭痛」があります。
一方、二次性頭痛は何らかの病気が原因で発生する頭痛です。二次性頭痛の原因には、クモ膜下出血や脳腫瘍、慢性硬膜下血腫など見逃すと危険な病気もあります。突然の痛みや今までに経験したことのない激しい痛みを感じた場合はできるだけ早く受診しましょう。
原因となる病気のない「一次性頭痛」は3つのタイプ
慢性的な一次性頭痛は3つのタイプに分類されます。
一次性頭痛の3つのタイプ
片頭痛
頭の片側または両側がズキンズキンと脈打つように痛むのが特徴です。発生頻度は月に1~2回ほどで、女性に多いとされています。日常動作で痛みがひどくなるのが特徴で、吐き気を伴うことがあり、光や音に敏感になるといった症状があります。治療はトリプタン製剤などの痛みを抑える薬物療法が中心です。暗く静かな場所で安静にすると痛みの軽減につながります。
緊張型頭痛
一次性頭痛のなかで最も多い頭痛です。後頭部を中心に両側から痛みが生じ、頭全体が締めつけられるような痛みや頭重感が特徴です。頭や肩、首の筋肉の緊張や精神的ストレスが原因と考えられています。筋肉の緊張と精神的ストレスを和らげることからストレッチが効果的です。重症の場合は鎮痛薬などによる薬物療法を行います。
群発頭痛
片側の目の奥がえぐられるような激痛が特徴で、男性に多いとされています。涙が出て、目が充血し、鼻水が出るなどの症状を伴います。1年に1~2回の終期で頭痛発作が起こり、発作は1~2カ月間ほぼ毎日、主に夜間の睡眠中に発生することが多いとされています。頭痛発作時には、トリプタン製剤による薬物療法や100%純酸素吸入療法などが行われます。
参照:日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 監,「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会 編:「頭痛の診療ガイドライン2021」
漢方薬の効果が期待できる片頭痛と緊張型頭痛
慢性頭痛のうち、片頭痛と緊張型頭痛は漢方薬の効果が期待できます。漢方治療では、体質や症状を見極めて一人ひとりに合わせた治療を行います。
どんなときに起こるか?
- 雨の日の前日など気圧の変化があるとき
- 冷えるような環境にいるとき
- 月経周期に合わせて
漢方の視点から見た「頭痛」、「気」「血」「水」の異常が関係
それでは、漢方の視点で頭痛の原因と治療について考えてみましょう。
漢方では、頭痛は「気」や「血」のめぐりが不十分となり、頭部への流れが乱れることが関係していると考えられます。「冷え」が原因の場合は、同時に胃腸のはたらきも弱まります。この時の漢方治療は、「気」を補い胃腸のはたらきを高め、滞った「気」のめぐりをよくすることで頭痛を改善します。
また、天気の影響を受けるような頭痛は、「水」の異常である「水毒」も関係しています。
漢方治療では、体質や症状に合わせて薬と使い分け
原因となる病気が特定できない慢性頭痛は漢方治療の得意分野のひとつです。頭痛に使われる漢方薬はいくつかあり、体質や頭痛に伴う症状に合った漢方薬を選択して治療します。
頭痛の治療に使われる漢方薬
呉茱萸湯
- 体力中等度以下
- 手足の冷え
- 肩こり
- 吐き気・嘔吐
五苓散
- のどの渇き
- 尿量が少ない
- めまい
- 嘔吐
- むくみ
桂枝人参湯
- 体力虚弱
- 胃腸が弱い
- 発熱・悪寒
- 下痢
半夏白朮天麻湯
- 体力中等度以下
- 胃腸が弱い
- 下肢の冷え
- めまい
- 嘔吐
釣藤散
- 体力中等度
- めまい
- 肩こり
- 耳鳴り
苓桂朮甘湯
- 体力中等度以下
- めまい
- ふらつき
- のぼせ
- 動悸
葛根湯
- 体力中等度以下
- 悪寒
- 発熱
- 首筋や背中のこわばり
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
- 体力中等度以下
- 手足の冷え
- 下肢の冷えが強い
- 下肢又は下腹部が痛くなりやすい
- 下痢
頭や肩、首の筋肉が緊張すると、頭が重い(頭重)と感じることがあります。漢方薬には頭重に使われるものがあります。
当帰芍薬散
- 体力虚弱
- 冷え性
- 疲労しやすい
- めまい
- 肩こり
桂枝茯苓丸
- 比較的体力がある
- のぼせ
- めまい
- 肩こり
- 足の冷え
参照:合田幸広・袴塚高志 監, 日本漢方生薬製剤協会 編「新 一般用漢方処方の手引き」, じほう, 2013.
ご自身の症状タイプに合った漢方薬を専門の施設へ相談してみてください。
生活習慣を見直すことが、頭痛対策につながる
日常生活を工夫することで頭痛の予防や痛みの軽減につながります。予防法や対処法を知って、自分に合った方法を生活に取り入れてみましょう。
1.ストレッチで筋肉をほぐす
首や肩のこりが原因で起こるような頭痛にはストレッチが効果的です。デスクワークやテレワーク、家事などで長時間同じ姿勢を続けた時や精神的ストレスによって筋肉が緊張すると血行が悪くなり、こりにつながります。
ストレッチで首や肩をゆっくりと動かして筋肉をほぐし頭痛を防ぎましょう。
2.規則正しい生活を送る
睡眠不足や疲労などは頭痛の要因になります。また、寝すぎると頭痛が起こる場合は、休みの日でもできる限りいつもと同じ時間帯に起きるよう心掛けましょう。
3.ストレス解消を心掛ける
ストレスは慢性頭痛の要因や悪化因子のひとつです。適度な運動や音楽鑑賞など自分に合ったストレス解消法を見つけ、ストレスをためないようにしましょう。
4.食生活を見直す
食事を3食きちんと食べることも頭痛予防につながります。血糖値が下がると頭痛が起きやすくなる人もいます。忙しくても食事を抜かないようにしましょう。
アルコール、赤ワイン、チョコレート、チーズなど頭痛を引き起こすといわれている食品があります。ただし、個人差があるので、どんな食品をとったときに頭痛が起こりやすいか自分で知っておくことが大切です。
5.ツボを刺激する
「気」「血」「水」の流れをよくすることで頭痛の軽減につながります。
百会(ひゃくえ)
頭のてっぺんのほぼ真中。中指で下へ向けて押します。
風池(ふうち)
天柱と、耳の後ろにある突起の中間。親指で押します。
天柱(てんちゅう)
髪の生え際で、二本の太い筋肉の外側。中指で押します。
参照:漢方セラピー クラシエの漢方「頭痛」
参照:Menotech Life byクラシエ「更年期のつらい頭痛の特徴とは?おすすめの食べ物・ツボなど対処法」
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