ながの小児科
長野 省五(ながの しょうご)院長
略歴:
1975年 北海道大学医学部卒業。
北見赤十字病院、北海道大学小児科代謝疾患専攻助手、千歳市立病院小児科医長などを経て1995年ながの小児科(現・医療法人澪和会ながの小児科)開院。
所属学会:
日本小児科学会専門医
日本東洋医学会会員
※全ての情報は掲載時のものです。現在の状況とは異なる場合があります。
掲載:2013/05/01
ながの小児科
長野 省五(ながの しょうご)先生
本日は、よろしくお願い致します。
こちらに開業されて長いのですか?
開業して20年になります。千歳の市立病院の院長を8年近く勤めた後、地域のかかりつけ医として仕事をしようと思い開業しました。
先生のところでは、主にどのような患者さんを診ているのですか?
乳幼児・小児が主体ですが、感染症の予防接種業務も最近は多くなりました。小児科では感染症の治療が業務の大きな部分を占めています。病気に罹って薬で治療するのはごく普通のことですが、病気に罹りにくい健康な子どもに育つ為にはどのようにすれば良いのか、指導に力を注いでいます。
発達障害の子どもさんも大変増加してきており、ダウン症候群などの先天性の病気の健康管理、健全な発育などについても力を入れています。
その他にお母さんやおばあさんの健康管理を相談されることがあり、漢方薬による体調管理を行ったりしています。
小さなお子さんはデリケートですから、大変ではないでしょうか…。
病気に罹りにくい健康な子どもに育つ為の指導は、大人になってから大きな財産になるように思います。最近は、若者の体力の衰えやアトピーなどが話題になりますが、子どものころの生活環境や食習慣って大切なのでしょうね~。
先生が日々の診療で心がけていることはなんですか?
病気の原因の適切な診断と、原因に対する治療を一番大切にしています。病気になりにくい体質、健康な身体作りを目標に診療しています。
先生は漢方を使って、どのような治療をしているのでしょうか?
漢方を使っての治療において、その優れている点や注意する点を教えて下さい。
漢方は現代医薬品とは異なって、人間の本来持っている健康を取り戻そうとする為の生薬の組み合わせから出来ているものです。症状だけを診てそれに対処するのではなく、その背景となるその人の健康バランスを正常に戻そうとするのが漢方薬です。体質や生活習慣からくる慢性の病気や、健康障害の改善にはそれ相応の時間が必要となります。血圧が高いという状況などで直ちに血圧を下げるのは現代医薬品が適していますが、血圧を上がらない体質にする役割を漢方薬が担うとも言えます。
一方でインフルエンザや、その他の急性感染症では、葛根湯などに代表される漢方治療薬は、現在の医薬品の解熱剤などと同等の速やかな効果が得られます。漢方薬がすぐには効かないという誤解を多く受けている背景には、このような違いが一般に理解されていないことによるものです。
私が漢方を使うきっかけになったのが、過労から血圧があがってしまったときでした。
先生がおっしゃるように、直ちに血圧を下げる必要から、まずは西洋薬を処方され、その後に血圧が下がって、あるていど落ち着いたところから漢方へ切り替えました。生活習慣を改善しながら漢方を飲み続けていますが、とても体調がよいです。
ところで、先生はなぜ漢方医を志されたのですか?
私が50代に差し掛かる頃に、日本に漢方医学が存在することを知りました。漢方医学は、今まで自分が行ってきた現代医学の学問体系とは、全く異なる治療の医学の世界に大変興味を引かれたのです。
日本で古来受け継がれてきた全く別のものと言ってよい医学と治療の方法があること、そしてそれを自分が身に付け、それを次の世代の日本のドクターに引き継がなくてはいけないのではないかと思ったのです。
まさに、運命的な出会いだったのですね!
ご自身からその次の世代のドクターへ継承していくって、とてもすてきなことですね!
漢方で治療した患者さんで、特に効果を実感された体験などはありますか?
最初に小児科医としての私が使った漢方薬は補中益気湯です。開業した当初に子どもの慢性の鼻かぜ、くり返す鼻水、長引く鼻かぜ、中耳炎などの感染症に対する治療が抗生物質をはじめ、その他の薬でも全く効果がないことに悩まされていました。
乳幼児では年齢的にアレルギー性鼻炎の発症は考えにくく、慢性の肺炎球菌などの感染に対する免疫力、抗体の獲得が得られていないことが原因と考えられました。そしてその免疫力を上げて感染症を治す為には、免疫に効果のある漢方薬が最善の治療法であると考えられたからです。もちろん抗生物質で細菌をやっつけるだけの治療ではなく、良い効果が得られたのです。
現在では発達障害や心理的ストレスに対して効果のある漢方薬、アトピー、喘息などのアレルギー疾患をはじめ、幅広い分野で漢方薬を使用しています。成人のうつなど心の問題が増えていますが、漢方薬による精神的サポートも行っています。
そんなに多くありませんが、癌の予防や治療中の体力、健康、免疫力の維持に漢方薬の使用をお勧め致します。
体力のないお子さんの症状は、ほんとうに辛そうですよね…このような漢方のエピソードを聞くと、漢方の頼もしさを実感します!私自身も漢方に助けられていますから、なおさらです!
ここからは話題をかえまして…日々ご多忙な中、先生自身の健康法やストレス解消法、趣味についてお聞かせいただけますか。
健康法の第一は「食事」です。薬膳とまでは言いませんが、苦手な野菜や芋、豆、きのこなど、和食の食材をタンパク質と共にしっかり摂るようにしていまして、食と栄養バランスによって心身ともに健康な若々しさを保つことを心掛けています。体育会系ではありませんので、運動は昼休みのウォーキングや週一回のテニス程度ですが、睡眠を十分取るようにしているのも健康の秘訣となっています。
世界情勢や日本の政治の行方、日本の歴史などについて広く情報を得たことを元に、様々な機会に原稿を書いたり、会議の多い生活ですが、他のドクターと色々なことを話し合って情報や意見交換をするのが大きなストレス解消法になっていると思います。
様々な音楽が好きですが、若い頃に果たせなかったフラメンコなどのギターの演奏に現在孤軍奮闘中です。何かの作業の時にはラテン系音楽はもとより、タンゴ、シャンソンなどのBGMを流しながらデスクワークを行っています。頭の中はよくこれらの音楽が流れています。
野菜や芋、豆、きのこなど、和食の食材をタンパク質と共にしっかり摂るってことが大切なのですね!
私も、「ながら運動」を心がけています。都内では極力エスカレーターを使わずに階段を使うようにしていますし、地下鉄の一駅くらいは歩くときもあります。ただ、空気が悪いので、こちらの環境がうらやましいです!
先生は、意外と多趣味ですね!様々なことに興味が旺盛といいましょうか…楽しそうな先生の雰囲気は、ラテン系の音楽が頭の中に流れているからなのですね!(笑)
好きな食べ物や、食事で気をつけていることはありますか? また、一般的に心がけておいた方がよいことはありますか?
最近、糖質ダイエットが話題になっていますが、実は糖は単なるエネルギー源ではありません。糖には8種類の必須単糖、アミノ酸と結合して糖タンパク質となり体内での生命現象に根源的な役割を果たしています。現代栄養学では、糖質は単なるエネルギー源としてしか理解されていません。ところが最新の生物化学、生命科学では、この必須単糖とタンパク質の役割(糖鎖)が生命と健康を維持する為の必須の成分となっていることがわかっています。漢方医学でも食が生命の基本となっているという捉え方がされています。
食事をむやみに制限するのではなく、質の良い化学物質と無縁の食材の植物性の糖質と動物性タンパク質、適度に良質な脂肪の三大栄養素をバランス良く食べることが健康の秘訣と考えています。時に食いしん坊とも言われますが(笑)。
食いしん坊だなんて!…実は、私もなんです!(笑)
下手に甘いものを控えたりすると、あとの反動の方が怖いです!
教えていただいたように、偏らないよう和食の食材をタンパク質と共にしっかり摂るようにしたいと思います!
最後に、これから目指されます医療をお聞かせ下さい。
少子化、出生率の低下、自分を含む団塊の世代の高齢化が避けられない現実となりつつあります。これから年を経る、60代以上の方々の健康が国家的な課題となっています。健康に年を経るには今まで述べたような食を基本とした、化学物質などを摂取しない自然な食生活が重要と考えています。こう言うのもなんですが、自分は癌になる可能性が低いと確信しています。外れたらすいません。
先生と話していると、あっという間に時間が経ってしまいます!
私も先生のようにラテン系の音楽を頭に中に流しながら、楽しく仕事をしていこうと思います!
本日はお忙しい中、ありがとうございました。
小児科の先生として日々子ども達に接しているからなのでしょうか…ほんわかと楽しい雰囲気の気さくな先生です。診療にかける思いも熱く、子どもを持つお母さん方からの信頼の大きさを感じました。
私も先生を見習って、ラテン系の音楽を頭の中に流しながら、楽しく、若々しく!…上司の小言を聞き流そうと思います。
ながの小児科
長野 省五(ながの しょうご)院長
略歴:
1975年 北海道大学医学部卒業。
北見赤十字病院、北海道大学小児科代謝疾患専攻助手、千歳市立病院小児科医長などを経て1995年ながの小児科(現・医療法人澪和会ながの小児科)開院。
所属学会:
日本小児科学会専門医
日本東洋医学会会員
※全ての情報は掲載時のものです。現在の状況とは異なる場合があります。
今回の取材は、札幌市清田区美しが丘にあります、ながの小児科からお届けします。
北海道は、いつ来ても空気が心地よく感じます。それに、街の中心から少し外れれば、空間の広がりを実感することができます。子育てをするには、うらやましい環境です!
どんな取材になるのか…ワクワクしてきました!