夏バテによい漢方薬Q&A

なかなか抜けない「夏の疲れ」に適した漢方薬
疲れやすい、食欲がない、働きたくない……暑さによる夏バテは、夏の中後期によくみられる症状です。なかなか抜けない夏の疲れを漢方薬で解消し、秋を元気に迎えましょう。
Q:01
Q:最近食欲がなく、疲れやすくなっています
そろそろ暑さもピークを過ぎたというのに、最近食欲がなく、特に脂っこい食事は敬遠気味。おまけに疲れやすくて、仕事に対する気力も衰えています。もっと元気に毎日を過ごしたいと思っていますが、疲れに効く漢方薬があったら教えてください。

A:日本人に最も多い“元気不足”タイプの疲れ
夏の疲れは、現代医学的にはビタミンや栄養素が、暑さのために失われることから発生すると考えられています。ですから、その対策は体から失われた栄養物を補給するという方法がとられています。しかし夏の疲れは単純な肉体疲労とは異なり、ビタミン剤や栄養のある食べ物を摂っても、なかなか回復しないことがあります。ここに漢方での夏の疲れを考えるポイントがあります。

ご質問のような疲れは、エネルギーや栄養素の吸収が悪くなって起こる症状で、胃腸の働きが弱い人に多くみられ、日本人には最も多い疲れのタイプです。漢方では「脾」といわれている胃腸系の働きによって、摂取した食べ物は吸収され、体の隅々まで運搬されて代謝しています。ところが夏は暑さのために飲食物も冷たいものに偏りがちになり、胃腸を弱めやすい環境にあります。胃腸の働きが弱いと、栄養物を摂っても充分に消化吸収が行われず、そのためエネルギーのもとである“気”が不足するのです。こうなると体全体のエネルギーも衰え、疲れやすい、食欲が減退して食事を美味しく感じない、声に力がなくなる、といった疲労症状を起こします。

このような“元気不足”タイプには『補中益気湯』を用いましょう。この漢方薬は別名「医王湯」とも呼ばれ、消化器系の機能低下や体力低下を回復させる働きがあります。

Q:02
Q:情緒不安定でイライラ感があり、気疲れや緊張感でぐったりします
仕事をテキパキこなす先輩は、私たちの憧れの的。ですが、聞けば最近は情緒不安定でイライラ感があり、気疲れや緊張感でぐったりするそう。同僚も常に、体が重だるいとか。何か良いお薬はありますか?

A:“ストレス”や“水害”も疲れの原因に
まず先輩の方の疲れは“ストレス”によるもの。ストレスはエネルギー(気)の働きを妨害し、疲れの原因を作ります。人付き合いがよくて、仕事もそつなくこなし、傍からはストレスなどないように見えても、感情を抑制し、緊張の糸が切れるとぐったりと疲れてしまう…そんな人は意外と多いものです。こうしたストレスによる気疲れには『小柴胡湯』が適しています。この漢方薬は自律神経を調整する「柴胡」という生薬を中心に、緊張感を和らげ疲労感を解消します。

また、同僚の方は“水害”タイプ、水分の摂りすぎによる疲れです。水分を摂りすぎると、余分な水のために体の中は水害のような状態になります。
そうなるとエネルギーは水分に邪魔されて流れにくくなり、その結果疲労が起こります。こうした水害タイプは、体が一日中すっきりしない「重だるい疲れ」になります。治療にはカッ香正気散(かっこうしょうきさん)を用います。生薬の「カッ香(かっこう)」には水分代謝を調整する作用があり、水分の摂りすぎによる疲れを改善します。この薬は疲れだけでなく、寝冷えなどが原因で起こる胃腸型の風邪(夏風邪)にも最適です。


漢方ミニコーナー
*「元気」を作る漢方薬*
朝から元気がない、食欲が湧かない、通勤電車ではいつも居眠り…。こうした慢性的な疲労を訴える人は少なくありません。“やる気”“元気”“陽気”など気にまつわる言葉はたくさんあり、普段何気なく使っていますが、実は疲れはこうした「気」と密接に関係しています。気は目には見えない精微物質で、私たちの体を支えるエネルギー物質としての役割を担っていると考えられています。

気が不足するとエネルギー不足の状態となって、全身にさまざまな疲労症状が起こります。また気が充分にあっても、ストレスや水分の過剰摂取などの原因で停滞し、体の中を巡らなくなると同じような元気不足の症状が現れます。漢方薬はこうした慢性化した疲れに適しています。治療原則は、気が不足している時は補い、気が体内で停滞している時は流れを円滑にする、という方法で「元気」を作ります。

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