第五十一回 小川医院 小川 一哉先生


略歴
氏名: 小川 一哉
略歴: 昭和62年3月  日本大学医学部 卒業
昭和62年6月  駿河台日本大学病院循環器科に勤務
平成 8年8月  駿河台日本大学病院循環器科を退職
平成 8年9月  小川医院に勤務 副院長に就任
平成22年4月  小川医院に勤務 院長に就任
現在に至る



ナビゲーター:奈美


漢方ナビもスタートから6年目になりました。ご登場いただいた先生方には、やさしく気さくに接していただき、そして、私の目線に合わせて丁寧に、とても分かりやすく漢方を教えていただきました。これからも、一般の方達にとって漢方の世界を分かりやすくお伝えできればと思っています。
本日は、埼玉県坂戸市にあります小川医院からお届けします。

小川医院



小川先生にインタビュー
駐車場も広々としていて、建物は病院というより森の中のおしゃれなレストランといった雰囲気で、すてきですね。
開院してどのくらいになるのですか?

先生:

祖父の代からは、77年ほどになりますが、先代の父から私の代になってから10余年になります。

先生のところでは、主にどのような患者さんを診られているのでしょうか?

先生:

赤ちゃんからお年寄りまで、年齢層は幅広いです。
病気ではケガや鶏眼(うおのめ)、水虫から専門の循環器疾患まで、色々な病気の方が来院されます。いわゆる「町医者」ですね。

日ごろの診療で心がけていらっしゃることはなんでしょうか?

先生:

患者さんに「ご納得頂ける」ことでしょうか。
いくら治療法が医学的に正しくても、患者さんの同意や協力無しでは治療効果が上がりません。ご自分の病気を理解し、積極的に治療に参加して頂けるように、と心がけております。

漢方のことを伺いますが、漢方を使っての治療において、よく一般の方は「漢方は副作用がないのでは?」といった印象を抱きがちなのですが…漢方の副作用について教えていただけますか?

先生:

漢方薬は複数の生薬の合わさった薬剤ですので、西洋薬と同じ様な副作用は起こり得ます。代表的なものでは、麻黄剤による動悸や成分の一つの甘草による低カリウム血症などがあり、副作用の発現を防止するためには、患者さんへの問診などを十分に行い、正確に「証」を見極める事が大切だと思います。

これまで取材させていただいた先生方の話でも、診察で「証」を見極める難しさは度々話題になりました。一人ひとりの体質に合わせて「証」を見極めるのは、とても大変なことだと思いますが、その「証」がピッタリと合ったときの漢方の効き目は驚くほどである、といった話も先生方によく伺います。漢方には、なんだかとても奥深いものを感じます。
漢方での治療で、何か印象に残るようなエピソードがありましたらお聞かせいただけますでしょうか。

先生:


そうですね…これは、色々な意味で勉強させて貰った症例ですが…。
だるさなどの体調不良を訴えて来院された女性の患者さんがおりました。かなりお痩せになっている方で、私なりに「証」を診立てて、とある漢方薬を2週間ほど飲んで頂きました。幸い、症状も改善し体重も増え、健康的な容姿になり、医学的には十分な治療効果を得ることができました。ところが、患者さんは、ご自身のスレンダーな体型を好まれていて、当初の症状は治ったものの、最終的な治療結果については、患者さん側に少々ご不満が残ってしまいました。
この経験は、先ほどお話しした「ご納得頂く治療」を心がけるきっかけの一つになりました。

女性としては、なんとなく分かる気も致しますが、体調を崩すほど痩せるとなると考えてしまいます。私もダイエットには苦労しますが、適度に均整の取れた体型を目指したいと思います。
先生が漢方医を志されました動機や、きっかけをお聞かせいただけますでしょうか。

先生:

私が医学部の学生だった頃は、今ほど漢方が市民権を得ておらず、私にとっても、漢方や生薬と云うと、当時からTVCMなどで有名だった漢方を使った「薬用酒」を即連想してしまう程度の認識でした。
研修医時代の指導医の先生に教えて頂いた「大建中湯」が、私にとっての漢方との最初の出会いでしたが、当時は循環器内科に在籍し西洋医学にどっぷりと浸かっていたため、特に漢方薬とは意識せずに処方していた記憶があります。
その後10年くらいの間に、漠然とした西洋医学の限界の様なものを徐々に感じ始めていました。大学病院と異なり、私の所の様な診療所には、「だるい」「調子が悪い」などの不定愁訴を訴える患者さんが多く来院され、その悩みを解消しきれていない現状に、もどかしさを痛感しておりました。そんな矢先に漢方薬を使ってみたところ、予想以上の治療効果が得られ、それからというもの、どんどん漢方にのめり込んで行きました。

日々の診療にお忙しい中、先生はどのように健康を維持されているのでしょうか?

先生:

そうですね…。今は全面的に漢方薬に頼って、いや、頼り切っていますね。年齢的に、どうしても気力と集中力が落ち気味になって来ていますので、そんな時には葛根湯を飲んで気合を入れ直したりしています。

食事で気を配っていることはありますでしょうか?

先生:

間食を控え、食べ過ぎないよう、注意しております。会合など、外食の機会も少なくはないのですが、出来るだけ自宅でバランスの良い食事を摂れるように心がけております。
とはいえ、しっかりと自己管理が出来ているかと云われると、あまり自信はありませんが…。

魚、肉、野菜などをバランスよく食べることが大切なのですね。

先生:

食事も含め、現代社会ではライフスタイルの占める割合が大きいのではないでしょうか。
消化などの点から、食事をして2時間以上は空けてから寝るようにした方が良いとは思いますが、仕事が夜の10時過ぎまでかかってしまう方や夜勤の方など、理想通りに食事が出来る方ばかりではありません。食べてすぐ寝てしまわなければならない方もいらっしゃるでしょうし、こういった事も病気の遠因になっていると思われます。

確かに、夜寝る時間が遅くなっている人が増えてきているような気がします。それに食べてからすぐには、なかなか寝付けないですよね。
最後に先生がこれから目指されます医療についてお聞かせ下さい。

先生:

それ程、大げさなものではありませんが、「患者さんに寄り添う医療」でしょうか。患者さんの訴えに耳を傾け、納得できるよう話し合いながら、その患者さんにとって最善と思われる医療を提供できれば、と思います。
当院の患者さんにはご高齢の方も多く、年齢的なものによる体調の変化も様々ですので、それをいかに漢方で補ってあげられるか…。その方に合った漢方薬を処方できるよう、日々、丁寧な診療を心がけたいと思っております。

'患者さんに寄り添う医療'…先生の患者さんを思う気持ちが込められているように感じます。
本日は診療でお忙しいところ取材に快くご協力いただきまして、ありがとうございました。


取材後記

患者さんにご納得いただく医療がいかに難しいか…そのテーマに真摯に向き合う先生の姿勢には、本当に頭が下がります。
今回の取材では、医療の治療効果とは別次元の満足にまでも気を配る先生の患者さんへの思いは、凄いと思いました。

■今回の取材先
小川医院
〒350-0202 埼玉県坂戸市大字小沼846
TEL:049-281-0839

※本文内の情報等は掲載時のものです。
  現在の状況とは異なる場合がありますので予めご了承ください。


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