第四十八回 香椎内科診療所 山田 明広先生


略歴
氏名: 山田 明広(やまだ あきひろ)
略歴: 県立小倉高等学校卒
久留米大学医学部卒
国立長崎中央病院にてローテート研修
短期間の離島勤務を数回経験
国立長崎中央病院救命救急センター専属レジデント
産業医科大学第2内科循環器グループ入局
鞍手町立病院循環器科勤務
小倉蒲生病院内科勤務
医療法人相生会臨床薬理センター勤務
香椎内科診療所開設
尊敬する原敬二郎先生に師事
香椎内科診療所 山田 明広先生



ナビゲーター:奈美


夏が猛暑だっただけに、今年の秋は、また格別な感じがします!みなさんはいかがでしょうか?
今回は、福岡県にあります香椎(かしい)内科診療所に伺います。ワクワクドキドキ…。
いつも取材前のこの瞬間が、たまらなく緊張するんですよね〜…。

香椎内科診療所



山田 明広先生にインタビュー
はじめまして。よろしくお願い致します。早速ですが、この地域に開業された理由をお聞かせいただけますか。

先生:

私の診療所は笠原先生という大ベテランの先生が、40年近く開業なさっていた場所をそのまま譲り受けたものです。
笠原先生は長年診療を続けられていましたが、ご高齢になられ御引退を考えられておられました。私と笠原先生はその時まで全く面識のない状態でしたが、知人の不動産屋さんにご紹介頂き、いろいろと条件が折り合いましたので引き継がせて頂くことになった次第です。
新たな歴史を生み出すのも大事なことですが、地域医療の継続性を守る上で「歴史を引き継ぐ」というのも意義のあることではないかと考えました。結果的に良い患者さんたちに恵まれ成功であったと喜んでおります。

地域のみなさんにとっては、近くに医療機関があるというだけで安心感に繋がると思います。地域医療の継続性を守る上で「歴史を引き継ぐ」というのは、本当に意義のあることではないでしょうか。
先生のところでは、どのような患者さんを診ているのですか?

先生:

周りを住宅地に囲まれ、少し離れたところに九州産業大学があり、スポーツで活躍する選手が多く通っている九州高校も近くにあることから、来院する患者さんの年齢層は幅ひろく、小児から高齢者の方まで診察しています。
本来は循環器内科ですが、地域の要望に応じて内科外科小児科など幅広く診療しています。
最近は、漢方をご希望の患者さんが増えてきました。そのような方は比較的遠方から様々な交通機関を駆使しておいでになります。難病、難治性の方も多いですが、私の医療に期待して遠いところを頑張ってこられているのですから、私もおのずと診療に力が入ります。何とか治したい。治せないにしても症状を軽くしたい。そう考えて、日々精進しております。

遠方からも来院されるのは、先生の情熱や思いが伝わって、患者さんも治療に前向きになり、病気に立ち向かう気持ちを、より強くするのだと想像します。
日々の診療で心がけていることはなんでしょうか?

先生:

難病に関しては現代医学だけでは駄目で、東洋医学だけでも駄目、実に様々な先端の医学を有機的に集学する必要があります。
現代医学でも今まで学んだことだけでは到底足りませんから、自分の専門領域を中心に、英文も含めトピックの論文には出来るだけ目を通しています。また研究会等にも出来るだけ参加し、様々な先生方と接点を保つように心がけています。
漢方薬に鍼灸は欠かせませんので、鍼灸の勉強も東京まで行っております。悪性疾患の方や難治性疾患の方などには、井穴刺絡療法も用いております。
新宿溝口クリニック提携の分子整合栄養医学の高純度サプリメント療法の併用、高濃度ビタミンC療法、プラセンタ療法なども考慮いたします。酸化ストレス除去として保険適応のエナジー療法もあります。漢方エキス剤は、同じ薬でも症状等に応じより適切なメーカーを選択します。飲みやすく効果の出やすいクラシエのエキス剤を良く用いております。生薬学に習熟した薬剤師が常勤しており、適切な方には煎じ薬をお出しいたします。私も鍼灸治療は行いますが、当院には経絡治療が専門の腕の良い鍼灸師が常勤しております。難病であれば治療は長丁場になることも多く、経済的な負担も出来るだけ減らしながら効果を出す方法も考えます。
余計なものや悪い習慣などを、体から除去することも大切です。生活指導として元気と直接リンクする呼吸と食事に関しては、特に重要視しております。東洋、西洋に関わらず出来るだけ薬は使わない主義です。
それと私は、患者さんに感謝する気持ちを絶対に忘れてはいけないと思います。医師はシェークスピアの様に「人」に興味を持つべきなのです。私は臆病で不器用な人間ですので時間がかかります。

薬には副作用もあるんですものね…出来るだけ薬は使わない主義!と言い切れる姿勢は、本当に患者さんのことを思っているからこそですね。
漢方を使っての治療についてお聞かせ下さい。

先生:

「治らなかったものが治る」この一点に尽きます。患者さんも喜ばれますが、私も嬉しいのです。また、東洋医学の場合「さじを投げる」ということがありません。必ず何か方法があります。

先生が、漢方医を志されましたきっかけはなんですか?

先生:


患者さんの言われる様々な症状。現代医学では「気のせい」や「気にしすぎ」で済まされるような微細な症状でも、東洋医学はがっちりと受け止め、それを説明できることが多々あります。説明が出来れば治療の糸口もみえてきます。この懐の深さが、東洋医学の良いところであろうと思います。
東洋医学は患者さんの症状だけでなく、気持ちもしっかりと受け止めます。東洋医学はある部分で「思考哲学」です。様々な症状が、私に「謎解き」を挑んできます。実は現代医学にもこのような部分はあるのですが、その醍醐味の大部分は大学病院レベルの最先端医療です。街のクリニックのレベルでの「謎解き」は、東洋医学的な思考の方が「答え」を得やすいのです。「答え」が分かれば治療が出来る、これも東洋医学の良い部分です。

私もこの仕事をするようになってからは、漢方の魅力に取りつかれてしまったようでして…漢方で治療した患者さんで、印象に残ったエピソードなどはありますか?

先生:

なかなか効果が出なくて患者さんと一緒に試行錯誤することも多いのですが、来院2回目で半分以上症状が軽減し、それ以降どんどん良くなって行くという経験もよくあります。何十年も続いたあの症状は一体なんだったのだろう、と複雑な心境になられる方もおられます。
さすがに例外的ですが、難治性だが症状としてはアトピーの比較的軽症の方で、漢方薬の服用を始める前に、食事療法の詳細な説明と私の師から伝授された漢方入浴剤の使用だけで、ほとんど治癒した方もいます。漢方は本来非常に即効性のあるものだと感じます。
その一方で「効き過ぎる」こともあります。最近は効き過ぎないようにすこしセーブをしながら処方しています。目的と反対の処方を少し混ぜたりすることもあります。漢方で「効き過ぎる」ことは、現代医学の「副作用」とはまたちょっと違うニュアンスで、割合危険なことがあります。正直を申せば、「効かなかった」「効き過ぎた」の経験も、それなりに積んでおります。患者さんに、大変申し訳ないと思っております。しかし、その中から多くのことを学び、今に至っております。きちんと弁証し「証」をしっかりたてること。これが大事です。
詳細な話を聞き、しっかりと診察をさせて頂き、また現代医学的な検査等も併せて判断し、詰め将棋のように理詰めの処方です。

先生のその真摯で謙虚な姿勢が、患者さんに安心感を与えているのだと思います。更に、お互いの信頼感にも繋がっているのではないでしょうか。それにしても、「患者さんに、大変申し訳ない」だなんて…先生は正直な方なんですね!
ところで、診療のお忙しい中、先生ご自身の息抜きはどうされているのですか?

先生:

ピアノを鳴らします。学生時代はフリージャズに傾倒しておりました。私の特技ですが、ストレスがたまると何時間でもピアノを鳴らし続けることが出来ます。手がしびれて、翌日は筋肉痛になります。ちゃんとした曲はほとんど弾けません。

音楽でストレス発散!それって私もなんです!好きな曲を聴きに…パーッと踊りに行っちゃいます!翌日は、全身筋肉痛です!
それから、好きな食べ物や食事で気をつけていること、一般的に心がけておいた方がよいことなどを教えていただけますか。

先生:

最近は糖質制限を心がけています。私の「証」に沿った養生ですが体を冷やさないこと、日々の呼吸、整体。ビタミンの摂れる上質な食事を心がけています。
そして、出来るだけ睡眠はしっかりとり、日中は出来るだけ体と脳を休憩させずに、常に新しい好奇心のアンテナを張っています。日中の疲労感はありますが、充実した楽しい日々です。

「常に新しい好奇心のアンテナを張っている」っていうのは、私もそんな感じで、確かに毎日が楽しい感じです!音楽の話といい…先生と私は、もしかしたらなんとなく似ていたりして?
最後に、先生がこれから目指される医療とはなんでしょうか?

先生:

様々な医療が垣根無く統合される医学です。
現実には難しいのですが、同じ志を持つ医師や様々な職種の仲間で共に学びあえるような環境を作れると、とても素晴らしいと考えております。様々な考え方やお立場の医療者が仲違いすることなく、患者さんを治したいという、その一つの目標の元に集える医療が実現できると本当に良いと思います。

先生の考え方は、私のような職業においても共通する部分があるように感じます。先生を見習っていきたいと思います。
本日は、ありがとうございました。


取材後記

とても紳士的で謙虚な姿勢に、患者さんの信頼の厚さを感じました。私自身も先生の考え方に、いろいろと教えられた気がします。
それに医療は、先生の熱い"情熱"なんですね!それが患者さんへも伝わって、治そう!というパワーに繋がるのだと感じました!

■今回の取材先
香椎内科診療所
住所:813-0012 福岡県福岡市東区香椎駅東4-26-2
TEL:092-672-0808

※本文内の情報等は掲載時のものです。
  現在の状況とは異なる場合がありますので予めご了承ください。


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