第三十三回 假野クリニック
假野 隆司先生


略歴
氏名: 假野クリニック 院長
假野 隆司(かの たかし)
出身: 1948年神奈川県小田原市生まれ
O型、子年(ねずみ)、牡羊座、動物占い:象
学歴: 1974年 大阪医科大学卒業
1982年 大阪医科大学大学院(薬理学)修了 医学博士
職歴: 1985年 假野クリニック開設
大阪医科大学 産婦人科学教室 講師
役員、専門医: 日本不妊学会評議員、日本更年期医学会・評議員、日本薬理学会評議員、 大阪産婦人科医会理事、日本産婦人科学会専門医、日本東洋医学会指導医、 大阪府社会保険診療報酬支払基金審査委員、大阪府医師会指導委員会委員、 大阪市南医師会理事
専門分野: 不妊症学、不育症学、更年期医学、思春期医学、漢方医学、薬理学
假野クリニック 假野 隆司先生



ナビゲーター:奈美
假野クリニック本日は、大阪にあります不妊症・不育症・未婚生理不順を専門とする、婦人科の假野クリニックにお伺いします。これらの悩みは、ご夫婦や日々何かと忙しい現代の女性にとっては、とても他人事とは思えないですよね〜!私もしっかりと、取材したいと思います…。



假野 隆司先生にインタビュー
とても活気があって、大阪のど真ん中って感じですが、先生がこの場所を選んだ理由はなんですか?

先生:

専門分野の不妊症、不育症は地域医療ではなく広域医療になるため、通院アクセスを重視して各種交通が集中する地点としました。

専門に特化して治療されているので、遠方から来る患者さんにとっての利便性も併せて考慮されたのですね!診療で心がけていることをお聞かせ頂けますか?

先生:

当院は、不妊症(男女)、不育症(習慣流産;男女)、未婚性成熟期月経不順専門施設ですので、なぜ妊娠しなかったのか、なぜ流産したのかを理解できるように説明して今後の治療方針が理解できるように努力しています。特に不妊症においては妊娠しない原因は体調、病気、ストレスによって毎月異なるために、各要因を記載した“通信簿”に○、▲、×を記入して、妊娠しなかった原因は▲、×にあると理解してもらい、それらを○にする治療行なっている事を説明しています。

漢方を使っての治療についてはいかがでしょうか?

先生:

不妊症のなかで卵巣機能不全不妊症のファーストチョイスは漢方薬にしています。西洋医学の排卵誘発剤、クロミッド、セロフェン、セキソビッド等は長期(半年以上)処方した場合は子宮内膜菲薄化作用、頸管粘液減少作用等の抗妊孕作用が必発ですが、漢方薬にはそのようなネガティブ作用がありません。しかし、漢方薬は生薬の合剤ですから、西洋薬に比べて副作用は少ないものの効能が劣ります。このため、“よく効く症例を選択する”、「証」診断が必要になります。本症には駆お血剤、利水剤が有効です。このため、婦人科漢方“御三家”の当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸の運用が中心になります。温経湯は利水作用がなく臨床的なデータが不足しています。
不育症でも自己免疫異常不育症に対して柴苓湯が有効な事が西洋医学的に証明されています。本症に対する西洋薬のアスピリン、ヘパリンと比較すると、自己抗体を低下させる原因療法である点と妊婦に投与した場合の安全性に利があります。漢方薬のエキス剤は同じ方剤名でもメーカーによって含まれる生薬の種と量が異なります。この事実は漢方専門医以外は知らないといってよいでしょう。柴苓湯はその代表的な方剤です。“朮”が蒼朮(蒼朮柴苓湯)、白朮(白朮柴苓湯)と異なり、その他の生薬の量も異なります。したがって、処方に当ってはこの点も配慮しなければなりません。不妊症に処方される当帰芍薬散と加味逍遙散も朮が異なります。

エキス剤が、同じ方剤名でもメーカーによって含まれる生薬の種と量が異なるなんて…とても繊細なさじ加減が重要なのですね!!ところで、なぜ先生は漢方を使うようになったのですか?

先生:

更年期患者の難治性の無菌性膀胱炎に清心蓮子飲が有効であったり、自身の痔疾が乙字湯によって短期で著効した経験をしたことが、漢方を使うきっかけになりました。

漢方で治療してきた経験の中で、何か印象的なエピソードなどがありましたら、お聞かせ下さい。

先生:

漢方薬をファーストチョイスにしているためにエピソードは枚挙に暇ありませんが、最も印象に残っているのは以下の3例です。2例は他施設で適応がない(卵管正常、ヒューナーテスト正常)のに体外受精を受けていた、ともに33歳の症例です。両症例は各々3、10回の体外受精(異なる施設)を受け、受精はするものの胚のグレードが悪いため着床しませんでした。両人とも「保有卵子が加齢によって劣化している」と事実上の予後不良診断を受けました。諦め切れない両人は最後の望みを漢方療法に託して私の施設を受診しました。「優良卵子が枯渇している場合は漢方療法も無効ですよ、卵を若がえさせる治療はありません」と説明して同意を得た上で漢方単独療法を行ないました。この結果、当帰四逆加呉茱萸生姜湯を処方した症例は1ヶ月で、加味逍遙散を処方したもう一例は2ヶ月で妊娠が成立、その後生児を出産しました。この2例は元々体外受精をしてはいけなかった症例なのです。胚のグレードが低いのは“人工卵管治療”の体外受精の問題点のためです。
もう一例は35歳の無月経例です。FSHが100mIU/ml以上あったので「早発閉経」と診断しましたが。患者さんは諦め切れず当帰四逆加呉茱萸生姜湯を服用し続けました。その後、妊娠が成立して生児を出産しました。本症例で明らかになった事実はFSH100mIU/ml以上を根拠に閉経と診断できない。「証」が合った漢方薬は第II度無月経にも効果がある、という事実です。

いろいろなエピソードを先生方に伺うのですが、人間が本来持っている生体の力を自然と引き出すような?不思議な印象を漢方に感じるときがあります…ところで先生ご自身は診療のお忙しい中で、どのように息抜きをされているのですか?

先生:

趣味は多いのですが、仕事と関係が深いのは読書とゴルフです。私は地下鉄通勤していますが、読書は車内で行ないます。特に推理小説と歴史通史が好きで、仕事前後に頭を真白にすることでリラックスに役立っています。ゴルフは典型的な「下手の横好き」ですが、仕事の休憩時に「前回調子が悪かったのはなぜだろう?、次はこのような対策を立てよう」と考える事がリラックスになっています。もっとも、対策が奏功する事はあまりないので、単なる妄想に過ぎないかもしれませんが…。

生活習慣や食事で気をつけること、一般的に心がけておいた方がよいことなどを教えて頂けますか?

先生:

元々、漢方医は生活指導にうるさいのですが、生活習慣については患者に指導することを自らの規範として心掛けています。指導する立場としても自身がある程度は実践する義務があるからです。私が重視するのは「夜型人間」にならないということです。週2回は午後10時までには就寝するようにしています。また10時以降は冷たい飲食物を摂取しないことに努力しています。またサプリメントに過剰な期待をしないことも重要です。必要な栄養素は、可能な限り自然食で摂取するべきでしょう。

最後に、これから先生が目指されます医療についてお聞かせ下さい。

先生:

西洋医学と東洋(漢方)医学の合体(漢西医統一)が大きな目標です。世界中で両医学を保険で行えるのは日本の医師しかいません。全ての病気は西洋医学、東洋医学だけでは治癒しないのです。患者さんの病況や体質を考慮して両医学を折衷すべきです。私は西洋医学の不妊症、不育症専門医ですが、漢方の専門医という非常に特殊な医師です。この立場から、患者さんの受益を最重要視して診療に当りたいと考えています。


取材後記

先生は、ご自身の治療経験を執筆し本を出されております。このオープンな姿勢こそ、先生の信条なのではないかと感じます。そこには、少しでも多くの患者さんを救いたい…という想いが込められています。このインタビューからも、そんな先生の情熱が伝わってきたのではないでしょうか。
興味がありましたら、下記のURLから医療機関のサイトをぜひご覧下さい。

■今回の取材先
假野クリニック 婦人科
住所:〒542-0073 大阪市中央区日本橋2-5-2 丸若ビル2F
TEL:06-6644-0370
FAX:06-6632-5039
URL:http://www.kano-clinic.com

※本文内の情報等は掲載時のものです。
  現在の状況とは異なる場合がありますので予めご了承ください。


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