第三十回 医療法人社団 朋佑会札幌産科婦人科
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ナビゲーター:奈美 |
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佐野 敬夫先生にインタビュー
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ゆったりと広がりを感じさせる、とても環境のよい場所にありますが、この地域に開業した理由を伺えますか? |
先生: |
当時(平成7年)の札幌市において当地は産婦人科診療所の数がわずかで、人口もこれから増加し分娩数も増える予想があり、また、地価も比較的安かったからです。住んでいる人もわずかで、野原の真ん中にクリニックを建てたという感じでした。現在はおかげさまで近所にイトーヨーカドーやジョイフル、最近はヤマダ電機まで出現し、賑やかになりました。 |
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町並みに奥行きというか、広がりというか…それほど札幌の中心から離れていないのに、東京では考えられないような環境がうらやましいです! ところで、先生のところでは、どのような患者さん診ているのですか? |
先生: |
産婦人科一般の患者さんと心身症の患者さんを診ていますが、悪性腫瘍の患者さんは総合病院へ紹介しています。年齢は全ての年齢にわたって診ています。分娩も年に700例ほどやっていますので平均での年齢層は一般の内科よりも低いかもしれません。 当院は心療内科も標榜しているため心身症の患者さんも受診されます。漢方はこういった患者さんや妊産婦の患者さんの風邪などによく処方します。 |
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私の母もお産のときとても精神が不安定になった…と話しておりました。心のケアまで診て頂けるのは、患者さんにとってとても心強いですね!先生が診療を行う上で心がけていることは、なんでしょうか? |
先生: |
患者さんが安心して納得してもらう医療を心がけています。具体的には診療中に患者さんの笑顔が見られることを指標にしています。 |
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とってもシンプルな感じですが、でも一番大切なことのような気がします。安心感や信頼感がなければ、自然な笑顔にはなりませんから!!漢方での治療は、どのように行われているのですか? |
先生: |
女性を診ていると腹痛に ![]() ![]() しかし漢方にとくにこだわっているわけではありません。目の前にいる患者さんに一番合っている治療法を考え、その結果漢方が選択されることがあるというだけです。患者さんによってはカウンセリングだけで終わる人もいれば、鍼治療をすることもあります。 初めての患者さんに漢方を処方するときは原則的に7日間の処方をします。風邪ならせいぜい2,3日分です。効果がなければ他の処方や西洋薬に切り替えることもあります。効きもしないのにダラダラと長期間処方することはありません。このコラムでは漢方薬の良い点を強調する例が多いと思いますが、西洋薬の方が錠剤であったりして患者さんによっては服用しやすい事も忘れてはいけないと思います。 |
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病気になったときは、とにかく一日でも早く治りたいというのが患者さんの心情だと思います。その気持ちを酌んで、患者さんに合った的確な治療をすることが大切なのですね… ところで、先生が漢方医を志した動機・きっかけはなんですか? |
先生: |
医師になって3年目に出張した市立室蘭病院の先生たちが、漢方エキス剤を利用していたので自分も使ってみました。ビギナーズラックというか、妊婦さんの冷えに対して当帰芍薬散が、子宮筋腫の患者さんの腹痛が桂枝茯苓丸でピタリと治ったのがきっかけでのめり込みました。 |
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治療した患者さんで、何か心に残るエピソードはありますか? |
先生: |
71歳の女性が10年以上も下腹部痛に悩まされていて、あちこちの病院でも原因が分からず治療効果もなく当院に受診しました。桂枝茯苓丸や通導散でも効果がなく困っていましたが、大黄しゃ虫丸が手に入り処方したところ、2週間で痛みから解放され、初診時には荒んだ感じだったのが6ヵ月後にはおしゃれをして若々しくなったのには驚きました。最近、残念ながら大黄しゃ虫丸が手に入らなくなったので、台湾製の抵当湯エキス剤を使用しています。他にもいろいろとありますが、生後6ヵ月の赤ちゃんの頭部の湿疹が大学病院の皮膚科でも治らないと相談され、治頭瘡一方を処方したところ1週間ですっかり良くなったと喜ばれました。この方剤を処方したのは初めてでしたが大人にも応用できるそうなのでこれからも試してみたいと思っています。 |
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これは、ぜひ伺いたいのですが、先生は日々お忙しい中、ご自身の健康はどのように気遣われているのですか?また、趣味などがありましたら教えて頂きたいのですが…。 |
先生: |
スポーツにはあまり興味がなく時間もないので、自宅から職場までの3.5kmの道のりを歩いて通っています。また、週に1回はダンベルなどを利用して家で筋トレをしています。歯の健康には以前から関心を持っていましたが、向の歯科の先生が歯周病の予防に力を入れていて、半年に1回の定期健診および20分のブラッシングで最近やっと褒められるようになりました。危ない点は酒飲みで、年に何度か記憶にない行動をとることもありますが、γGTPは現在のところ正常です。週に2回ほどの当直が休肝日となっています。 臨床や対人関係などで決断に迷うとき、「孫子」を座右の書とすることでストレスを貯めることなく乗り切っています。また心身症の治療法の一つである交流分析も、対人関係において、診療および私生活でも役立っています。 趣味はほとんどなく読書くらいなものなので、「俺は趣味もなくつまらない人生を送っているなぁ」と愚痴ったところ、スタッフに「先生には東洋医学があるじゃないですか」と言われ、「そうか、俺の東洋医学は趣味か」と笑ってしまったことがあります。少ない趣味の読書としては最近、佐伯泰英の時代小説にはまっています。 |
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歩くのがいいですよね!私も出来るだけ歩くようにしています。それにエスカレーターはなるべく使わず、階段を使うようにしています!ただ…適量のお酒は、どうしても必要でして…私もγGTPは、毎回注目しております。 運動やお酒以外で…そうそう!食事で気をつけていることは何かありますか?食の好みも教えて頂けないでしょうか? |
先生: |
好き嫌いはほとんどありませんが、しいて上げるとすれば蕎麦と豆腐です。蕎麦は「もり」、豆腐はそのまま醤油をかけて食べるのが好きです。 太りやすい体質なので、とにかく食べ過ぎないようにしています。また職業柄、早食いなので20回以上は噛むように心掛けております。 |
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最後に、先生がこれから目指される医療を伺えますでしょうか? |
先生: |
いつの間にかベテランと言われるようになりましたが、若い医師やスタッフに「あの先生はもう古い」と言われないように、初心を忘れないように進んで行きたいと思います。 |
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私も先生に見習って、謙虚な気持ちをいつまでも失わないようにしたいと思います。 本日はお忙しい中、ほんとうにありがとうございました。 |

とにかく先生はお忙しく、食事の時間も満足にはとれない様子でした。それなのに快く取材に協力頂き、感謝!感謝!です!今回もお医者さんは、タフでなければ務まらない大変なお仕事だと実感しました。 |