第二十九回 札幌マタニティ・ウイメンズ南1条クリニック
八重樫 稔先生


略歴
氏名: 八重樫 稔(やえがし みのる)
札幌マタニティ・ウイメンズ南1条クリニック院長
略歴: 1979年  北海道大学農学部大学院修士課程(林産学専攻)修了
1989年  北海道大学医学部卒業
同年北海道大学医学部産婦人科教室に入局
1997年  江別市立病院産婦人科部長
所属学会: 日本東洋医学会専門医、日本産婦人科学会認定医
日本更年期医学会評議員
札幌マタニティ・ウイメンズ南1条クリニック 八重樫 稔先生



ナビゲーター:奈美
札幌マタニティ・ウイメンズ南1条クリニック 今回は、札幌市にあります札幌マタニティ・ウイメンズ南1条クリニックの八重樫先生にお話を伺います。
産科、婦人科の先生への取材は、あまり機会がなかったので楽しみです。場所はとても便利なところにあって、札幌の中心部西6丁目、東急ハンズの隣にあります。それでは、さっそく伺ってみましょう!



八重樫 稔先生にインタビュー
ほっとするような雰囲気のきれいなクリニックですねー!こちらでは、主にどのような患者さんを診ているのですか?

先生:

大学病院では長い間「更年期外来」を担当していたので、中年以降の患者さんが多いですが、街の中なので近くにお勤めの女性も少なくなく、10代から80代まで年齢層は広いですね。
対象は、生理痛、生理不順、妊娠、更年期障害など産婦人科プロパーの疾患を始めとして、様々な不定愁訴や、産婦人科疾患ではなくてもいろいろな科を回って改善しない症状で来られる方が多いです。例えば原因不明の痛み、めまい、ふらつき、吐き気、抑うつ状態、頑固な咳、理由の分からない発熱などですね。また、症状によっては鍼をすることもあります。妊婦さんの腰痛には、鍼がよく効きます。
妊娠中で普通のお薬が使えないことが多いので、安心して治療を受けて頂くことができます。
たまに、口コミで男性の方もみえることがあります。現在かかっている科で症状がよくならないので、漢方治療を求めて来院します。なお、妊婦さんは妊娠9ヶ月まで妊婦検診をしています。10ヶ月以降はこのサテライトの本院である「札幌マタニティ・ウィメンズホスピタル」に行って頂くか、ご希望の産婦人科に紹介しております。

そうなんですか?口コミで男性の方も来ることがあるんですか…病気によっては、性差は関係ないのでしょうね?
先生が診療で心がけていることはなんですか?

先生:

よく患者さんのお話を聞き、診察をしっかりして、的確な診断に努める、病気や病状は、分かりやすく丁寧に説明する、場合に寄っては、専門のドクターを紹介する、東洋医学一辺倒にならず、西洋医学のいい点については忌憚なく取り入れる、といった点でしょうか。
あとは、いいと思われる事は積極的に取り入れることです。現在は漢方と鍼のほかに、アロマセラピーもやっております。

漢方を使ってどのような治療をされているのですか?また、漢方のよいところや、服用に際しての注意点などがありましたら教えて下さい。

先生:

漢方は西洋医学と違い、病名や原因が分からなくても、患者さんの体の状態と症状だけで、薬を処方できる点がいいところでしょう。
全体として漢方は慢性的な症状に適すると思われていて、長い間飲まなければいけない、と思われがちですが、風邪には短日時に効を奏します。以前、咳が1ヶ月も続いている女性に漢方薬を処方したことがあります。西洋薬も他医からもらって飲んでいたのですが、2回飲んだだけで咳が治ったことがありました。数ヶ月も飲んで漸く効果が出る、ということはなくはありませんが、まず長くても2週から4週程度飲めば何らかの効果はみえてくるはずです。
漢方薬といえども、副作用が全くない訳ではありません。甘草は7割くらいの漢方薬に含まれていますが、血圧が上がったり低カリウム血症になることがありますし、麻黄が入っているものも交感神経を刺激して、動悸や頻脈、不眠などがでることがあります。心筋梗塞などの既往がある方は要注意です。また、複数の病院から漢方薬をもらっている場合には、知らず知らず漢方の量が増えて副作用が出やすくなっていることがあります。ドクターも飲んでいる薬についてはよく聞かなければなりませんし、患者さんも服用中の薬を全て申告することが必要なのです。
漢方薬の服用は、普通食前あるいは食間になっているので、飲み忘れた場合に食後に気付いても飲まない方がおられますが、飲まないでいるよりは食後でも飲んで頂いた方がいいのです。体に入らないと薬は効きません。
西洋薬は作用するポイントが1カ所ですが、漢方薬は複数の成分を含んだ生薬がさらに数種類入っていますので、1剤だけで複数の症状を取ることができます。不定愁訴をいくつも抱えている方には漢方がピッタリです。

ところで、先生はなぜ漢方医を志したのですか?

先生:

学生時代から、東洋医学研究会に入っていましたので、自然に漢方を処方するようになりました。もっとも、東洋医学研究会では鍼を中心にやっていましたので、しっかりと漢方の勉強を始めたのは医師になってからです。
東洋医学は全体的な調和をとる治療体系ですから、1カ所を攻める西洋医学と違って、そのやさしさに引かれたのかも知れません。
また、医学部に入る前は農学部に行っていましたが、山に入っての実習では、植物の中にいる心地よさのようなものがありましたので、そのあたりも漢方に違和感なく入って行けた理由かも知れません。

漢方も自然の恵みというイメージがありますよね!人間も本来は、自然の生き物なんですよねー…あまりそれから外れると病気になるのかもしれませんね…漢方を使っていて、何か心に残るようなエピソードはありますか?

先生:

たくさんあって書ききれませんが、一つだけお話しします。漢方を始めて間もない頃、ウチの当時5歳の娘が風邪を引いたのです。39度くらいの熱が続き、小児科から処方された熱冷ましの座薬を使うと、その時は熱は下がるのですが、薬が切れるとまた熱が上がってしまい、本人は真っ赤な顔をして熱がって苦しそうな顔をしているのです。
そのような日が3日も続いたものですから、桂麻各半湯を夜寝る前に飲ませましたら、翌朝、36度まで熱が下がり、元気に保育園に行きました。一服でここまで治るのかとビックリし、漢方の妙味に感心したことがありました。漢方は自分とか家族に使うと、経過がよく分かるので、治療経験としては非常にいいのです。

お忙しい中、先生自身の健康はどのように維持されているのですか?何かリラックスする趣味などがありましたら教えて下さい。

先生:

音楽がもともと好きで、夜、書斎で一人クラシックやジャズを効くのが、一番リラックスします。高校時代はブラスバンドでフルートを吹いていましたが、最近チェロを始めました。バッハの無伴奏チェロ組曲を引くのが夢です。
本を手当たり次第に読むのが好きで、5冊以上を同時進行で読みます。今は塩野七生さんの「ローマ人の物語」で文庫ですが、ようやく26卷目まで来ました。あとはカラマーゾフの兄弟の新訳本、最近解決したポアンカレ予想の解説書、科学哲学の解説書、中国に関する本などあまり脈絡なく読みます。医師の仕事の時に使う頭とは違う部分を働かせることが、ストレス解消法かも知れません。
健康法としては、中国に行って習ってきた気功をやり、霊之のエキスを飲んでいることでしょうか。あとは、出来るだけ歩くことです。
タバコはもちろん吸いません。

私もよく歩くようにしています。取材などのときに時間があるようなら、地下鉄二駅くらい歩きます。と…言っても、東京の地下鉄は、駅の距離が近いんですけどね…好きな食べ物や食事で気をつけていること、一般的に気がけておいた方がよいことなど何かありますか?

先生:

トマトと納豆はほぼ毎日食べています。基本はあまりたくさん食べないことです。年齢が進むと代謝が落ちてきますから、カロリーはいらなくなってきます。精神面では、くよくよしないこと。悪いことが起きてもこれがきっかけで別のよいことが起きるのだ、と思うことです。

ほんとうに、そう思います!考え方ひとつですよね!
例えば病気になったとしても、療養してゆっくり体を休める時間が出来たと思えばいいんですよね!
最後に、これから目指されます医療についてお聞かせ下さい。

先生:

理想は、たとえばキリストのように、ただ話をしただけで、あるいはそばにいるだけで病気が癒されること、これが究極の治療の姿だと思っています。しかし、私にはこのような力はないので、クリニックにきただけで、ほがらかに心地よくなって頂けるような医療を目指したいです。
ある意味、「病は気から」という部分はありますから。

気持ちの部分って大きいですよね!本日はお忙しいなか快く取材にご協力頂きまして、ありがとうございました。


取材後記

■今回の取材先
札幌マタニティ・ウイメンズ南1条クリニック
住所:〒060-0061 札幌市中央区南1条西6丁目 第27桂和ビル4F東急ハンズ横
電話番号:011-208-1880(代)
FAX:011-208-1890
URL:http://www.smwh.or.jp/08-04.php

※本文内の情報等は掲載時のものです。
  現在の状況とは異なる場合がありますので予めご了承ください。


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