第十八回 大竹ペインクリニック 大竹 哲也先生


略歴
 氏名: 大竹 哲也(おおたけ てつや)

大竹ペインクリニック 大竹 哲也先生

 略歴: 1979年 群馬大学医学部卒業
群馬大学医学部麻酔科入局
1980年
〜1987年
前橋赤十字病院、群馬大学付属病院などに勤務
1987年 伊勢崎市民病院麻酔科医長
1988年 10月同院にて漢方外来開設
(関東の公立病院では初)
1996年 同院・診療部長兼麻酔科医長
1998年 群馬大学医学部非常勤講師(麻酔・蘇生科)兼任
2002年 同院・麻酔科主任診療部長
2003年 4月大竹ペインクリニック開業
資格: 麻酔科標榜医
日本麻酔科学会指導医(専門医)
日本ペインクリニック学会認定医
日本東洋医学会専門医(指導医)
医学博士(群馬大学)
学会役員: 日本ペインクリニック学会・評議員
日本東洋医学会・群馬県監事
日本麻酔科学会・群馬県支部常任幹事
受賞 : 第26回日本ペインクリニック学会総会・会長賞:1992年(骨粗鬆症に関して)
国際学会座長 : The 7th International Congress of Oriental Medicine(第7回国際東洋医学会)
台湾/1992

ナビゲーター:奈美

群馬県伊勢崎市に来ています。伊勢崎駅は、古き良き昭和の風情を今も残していて、のんびりとした時間が流れているようで、とても環境がいいです。今回お伺いします大竹ペインクリニックは、伊勢崎駅から車で5分くらいの閑静な住宅地にあります。ペインクリニックって聞いたことがあるような…いろいろ教えていただこうと思います。

 

外観・内観


大竹先生にインタビュー
先生が開院されるのに、この地域を選んだのには、何か理由があるのでしょうか?
先生: 特に理由はないのですが、もともと伊勢崎市民病院にいたものですから、病診連携のことも考えて、近くに開院したのです。麻酔科の医長を17年やらせていただいていたものですから、患者さんを多く受け持っていたのもありまして、そのへんも考慮しました。
地域に密着して診療しているのですね。
先生: 地域に密着してといっても、けっこう遠くから患者さんが来ることがありますね。
ペインクリニックは、一般的な内科と異なり、半径何キロ圏内が診療圏というのとは少し事情が違いまして、特殊性が高いので、かなり遠くから患者さんが来られます。あまりペインクリニックをやっているところがないからだと思います。そういう意味では、狭い範囲で診療している感じではないですね。
ペインクリニックって…どのような治療をするのですか?
先生: ペインというのは、“痛み”という意味で、クリニックは“外来とか診療所”という意味があります。その“痛み”を専門に治療する診療所が、ペインクリニックなのです。
痛みを取ってもらえる??ようなイメージですね!
先生: 簡単に言えば、そういうことになりますでしょうか。
ペインクリニックを標榜する医者は、神経ブロックという治療法を中心に治療するということになります。
神経ブロックというのは、簡単に言うとどんな治療法でしょうか?
先生: 痛みというのは、なんらかの原因が知覚神経を介して、その刺激が脊髄を通って脳が痛みを感じるのです。そのなんらかの原因になっている責任の神経の興奮を、遮断してあげるといいますか、ブロックしてあげる治療法なのです。痛みがある場合は、「痛みの悪循環」と言っていますが、その悪循環を断ち切ることによって、痛みを改善してあげるというのが、この治療法の目的です。
「痛みの悪循環」??なんだか…難しいのですが…
先生: 医者でもなかなか理解するのが難しいのですから、しかたありませんね〜…
知覚神経を介するのが“痛み”なのですが、知覚神経のブロックだけでなく、血管収縮などをつかさどる交感神経をブロックすることで、血流障害を改善し、痛みを改善する場合もあります。
外来で治療する場合は、局所麻酔で行います。
簡単にまとめますと、おおまかに神経は、知覚神経・運動神経・交感神経などの自律神経の3つに分かれます。特に、交感神経に原因がある場合はやっかいなケースが多く、特殊な治療になることもあります。主に、交感神経と知覚神経に関連する「痛みの悪循環」をいったん断ち切ってあげて、リセットすることによって“痛み”を改善してあげるというのが、神経ブロックの治療になります。
ぎっくり腰などは、ほとんど1〜2回の治療で治ってしまうことが多いです。
先日も3人来院しましたが、2人は帰られる時には殆ど痛みが消失していました。もう1人は、数回のブロックが必要となりました。来院時は苦しそうにしていた患者さんが、治療後は痛みが消失し、びっくりして帰られますよ。
それから、他病院の整形外科から、手術をしない場合の安静にしていなければならない患者さんで、“強い痛み”を訴えている患者さんの紹介などもあります。そいう患者さんへも、神経ブロックの治療は有効です。
漢方を、どのように治療に取り入れているのでしょうか?
先生: 例えば、骨粗鬆症のような場合は、痛みをとるだけでなく、骨密度を増やし、新たな骨折を防ぐ必要があります。
その場合には、長期にわたる治療が必要になります。漢方薬が非常に有効です。ご高齢の方の治療には、本当に良い治療法です。
先生のところは、幅広い年齢層の患者さんを診ているのですね。
先生: 年齢層は確かに幅広いですね。
比較的若い方に多い、椎間板ヘルニア・ぎっくり腰など急性のものから、慢性で高齢者の骨粗鬆症まで診ております。骨粗鬆症については、臨床研究を15年以上やってきて、論文発表・学会発表なども数多く行っておりますせいか、骨粗鬆症の患者さんは、かなり多く診てきていると思います。また変形性膝関節症などの患者さんも多いですね。この膝の痛みにも漢方薬は非常に有効です。
ご高齢の患者さんが多いですが、ペインクリニックでは、手術を伴わない“痛み”を診ていますので、若い方の頭痛、偏頭痛なども診ております。漢方薬は片頭痛の予防としても有用です。
先生が、診療で心がけていることはなんでしょうか?
先生: 患者さんが、痛みを訴えてきても、臨床所見がないと、つい、「気のせい」だとか「年齢のせい」などと言ってしまいがちですが、私は、患者さんが痛みを訴えている以上、まず、なんらかの原因がある!ということを前提に、治療に入ります。たとえ、レントゲンを撮って異常がないとしても、本人が痛みを訴えている以上は、あらゆる原因を探るようにしています。画像に写らないケースは、いくらでもあるのですから。
私が判断つかない場合は、大きな病院を紹介します。特に市民病院とは連携がよく取れておりますので、ここから直接MRI検査等の予約を入れることもあります。
先生が、漢方を処方するようになったきっかけは、なんでしょうか?
先生: 昭和57〜58年ごろの、卒業してまだ4〜5年ぐらいのころでしょうか。そのころペインクリニックを勉強して研鑽を積んでいたのですが、神経ブロックが万能という考え方にも限界を感じておりまして…100%治る治療法は、まずないのです。
そんなとき、神経ブロックでうまくいかない患者さんに、たまたま漢方を試してみようという気になったのです。そうしましたら、非常に効果があったのです。そこから独学で漢方を学んでいったのです。自分でも、かぜのときに葛根湯を飲んでみたら、鼻水やせきが止まりまして、効果を実感しました。
とにかく一生懸命勉強しまして、臨床経験を積んで、自分である程度自信を持てたころ、伊勢崎市民病院に漢方外来を開設しました。1988年(昭和63年)のことです。
それから患者さんが増えて、臨床データが集まるようになり、学会発表や論文発表ができるようになったのです。
その当時、15年以上前でしょうか…漢方薬は体質改善には効くが、“痛み”には効かないのではないか?と言われていたのですが、そんなことはなく効果がある!ということを、臨床データを基に、学会などで発表しているうちに、ペインクリニックの治療に漢方が広がっていったという経緯があります。今では、ペインクリニック分野での漢方は、一般的になってきておりますが…
患者さんの健康にとても熱心な先生であることは、よくわかりました。では、ここからは、先生ご自身の健康法を教えていただけませんでしょうか?
先生: とくべつなことは、なにもしておりませんが…食事には気をつけております。
市民病院で、大きな建物内を歩き回っていたころに比べますと、運動量が激減しましたので、食べ過ぎないようにし、カロリーには気を配っております。お菓子などをいただいたときは、できるだけ、スタッフのみんなに回して、自分は控えるようにしております。少し、血糖値が気になり出してきていますので。
ストレスは、どのように解消されているのですか?
先生: 学生時代からジャズが好きで、ジャズを聴くことですかね。中学生のころから、クラリネットとサックス、それからピアノを少々と、トランペットもやりました。高校生ぐらいからレコードを集め始めて、大学卒業のころには、200枚ぐらいありました。現在は3000枚以上のレコードを持っています。若い頃はレコード代にだいぶつぎ込みました。レコード店には、私専用のコーナーがあったほどです。注文しておくと、いつもそこに入荷しているような感じです。私はそのコーナーに取りに行くだけなんです。
それから、絵も好きです。季節ごとに待合室の絵を交換しています。患者さんに好評なんですよ。落ち着く絵を探しています。また院内では常時音楽を流しています。
この診療所自体、癒しといいますか、落ち着くような雰囲気にしたかったものですから…
あまり診療所っぽくしなかったんですね。外観も落ち着いたトーンにしてみました。
なるほどですね〜!たしかに、落ち着いた雰囲気ですものね〜!
ところで、なにか好きな食べ物はありますか?
先生: りんご!!りんごが大好きですね!ほとんど、1年中食べています。多少味の落ちたりんごでも、りんごならなんでも食べます。果物が好きなのですが、りんごは特に好きです。
「りんご博愛主義」なんですね!
先生: そうなんですよ!ほんと、そんな感じです!
でも、最近は血糖値が気になるものですから、数は減らしております。
果物は、体に良いとは聞きますが、食べ過ぎは、良くないのですね…
先生: 甘いものには、変わりないものですから…女房にも、果物を減らすようにお願いしています。
最後に、これから先生が目指されます医療についてお聞かせ下さい。
先生: 凝り固まらない医療といいますか、西洋医学でも東洋医学でも、患者さんにとって良い治療に、こだわりはないのです。ですから新しい薬も、患者さんにとって、有効と思えば、どんどん使っていきます。野球で言うなら、三割の打率を5分上げる可能性、例えば、神経ブロックで5割〜6割の治療効果だとして、更に漢方を加えれば7割5分〜8割の治療効果が得られる可能性があるのなら、それを取り入れることに、なんらこだわりはありません。
相乗効果や、補完し合う効果を期待するのですね。
先生: そうですね。それから全人的医療という言葉がありますが、専門家の目をもっても、全人的に診ることが出来るのです。痛みからでも、腰痛があって高血圧もあるなど、その患者さんを深く診ていけば、全体を診ていくことになるのです。それから、同じ整形外科の先生でも、膝が専門であったり腰が専門であったりしますので、その各専門の先生方とのネットワークによって、患者さんを的確に紹介し、全体的にケアすることは可能です。 総合病院などは、各科に専門医の先生もおりますので、各科の専門診療所のネットワークと併せれば、理想的な全人的医療が提供できると思います。
診ている患者さんに対しては、捻挫や腹痛などでも気軽に相談に乗るようにしています。そして、この腹痛は専門医に診てもらったほうが良いという場合は、専門医への紹介を直ちに行うようにしています。
例えは、ピンとこないかもしれませんが…雑貨屋さんだけれども、ブランド品を置いてあるような…
先生: 専門店として、ちゃんとブランド品を置いてありますよ!というような…
逆に大きなお店から紹介されて、お客さんが来るみたいな!
先日も、大きな病院から、患者さんが紹介されて来ました。
神経ブロックが禁忌(してはいけない)である薬を使っておりましたので、一時やめてもらって、治療したところ、難しい治療でしたが、非常に良好な結果を得ることが出来ました。
敷居は、雑貨屋さんのように低い、専門店なんですね!
先生: そうそう!ブランド品も置いてあるし、お取り寄せも、紹介も出来るし、リーズナブルな商品もご案内致します!そんなイメージかもしれませんね!
本日はお忙しいところ、とても楽しいお話を聞かせていただき、ありがとうございました。



取材後記
痛みを感じるのは、“脳”なんですね〜!神経ブロック治療で、ぎっくり腰の痛みが、劇的に改善できるなんて!あの痛みは、ほんとうに辛いですよね〜!ペインクリニックがもっともっと増えないかな〜…。それにしても、気さくで、とても優しい、りんごが大好きな先生でした。

■ 大竹ペインクリニック
〒 372-0812  群馬県伊勢崎市連取町1781-6
TEL: 0270-22-1371

詳細は、URL: http://www11.plala.or.jp/OPC-PCOM/
をぜひご覧下さい。

※本文内の情報等は掲載時のものです。
  現在の状況とは異なる場合がありますので予めご了承ください。

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