5月はゴールデンウィークがあり、まさに行楽シーズン! 今日は、埼玉県川越市に来ています。川越は、「小江戸」といわれているだけあって、大変風情のある歴史を感じさせる街です。 通りを歩いていると、時間がのんびり流れているみたいで、古い建物を見て歩いているだけでも楽しいですよ〜!東京からも近いので、ぜひおすすめです。 あ、もう取材先の山口病院に到着!川越駅からも近く、ホテルみたいで、きれいな病院です。
『一つの処方で複数の症状に対応できる』のが漢方薬の強みです。 西洋薬の場合は症状ごとに薬を使う場合が多く、症状が多ければそのぶん薬の種類も増えてしまいますので、肝臓への負担などを含め慎重に経過管理する必要があります。
漢方治療を行なう際の基本は、「気」の異常、「血」の異常、「水」の異常と3つに分けます。 気血水のバランスを整えることで、その人の精神のストレス軽減、身体症状の軽減を目指します。 「気」の異常は、「気うつ」「気虚」「気逆」の3つがあります。 「気うつ」とは、抑うつ気分、不安、喉のつかえ感などを特徴とします。気剤の半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、香蘇散(こうそさん)を用います。 「気虚」とは、意欲低下、易疲労感、風邪をひきやすい、消化器機能の低下などを特徴とします。補気剤として、六君子湯(りっくんしとう)や参耆剤(じんぎざい)の補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)を用います。 「気逆」(気の上衝)とは、冷えのぼせ(上熱下寒)、せき込み、顔面の紅潮、頭痛、動悸、焦燥感などを特徴とします。桂枝湯類(けいしとうるい)の桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)などを用います。
「血」の異常は、「血」と「血虚」の2つあります。 「血」とは、月経異常、腹部の膨満感や圧痛、皮膚の粘膜のうっ血などを特徴とします。 駆血剤(くおけつざい)の当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、加味逍遙散(かみしょうようさん)などを用います。 「血虚」とは、皮膚の乾燥と荒れ、眼精疲労、貧血、こむらがえり、頭髪が抜けやすいなどを特徴とします。 「水」の異常は、「水滞」です。 「水滞」とは、浮腫、尿量の異常、頭重感、めまい、水様の鼻汁などを特徴とします。
漢方薬は現代医薬による治療とは大きな違いがあります。イライラ(焦燥)の治療を例にとりますと、現代医薬による治療ではイライラそのものをターゲットにします。これに対して漢方治療では、『心身一如』として、イライラの背景にある「心身のバランスの乱れ全体」を是正してくれます。その結果として、イライラも軽減します。漢方治療では現代医薬と違って、眠気などの副作用がない利点があります。しかし、基本的には、「漢方医学的診察・診断」のもとに一人一人のその時点の個人の体質にピッタリあった処方がなされなければ、効果がないようです。
精神科のように比較的長期的にわたって現代医薬を飲むケースが多い場合、副作用の心配がいつもついてまわります。しかし、その人のそのときの体質にピッタリあっている漢方薬を併用すると、現代医薬の副作用が軽減されたり、全身の「自然治癒能力」が増加して、体調も整ってきます。
漢方薬は、多様な愁訴を改善し心身両面に作用し、一剤で多様な病態の改善を図ることができるため、医療経済的にもメリットがあると思います。また、副作用が発現しやすい虚弱な方、高齢者などの自然治癒力を高め、「生活の質Quality of Lifeの向上」につながります。 『未病を治す』とよく言われるように、『予防医学』も漢方医学の大きな特徴です。病気になる前に、身体の状態を調べて、バランスを整えておけば、病気は未然に防げます。日頃の運動や食生活、そして漢方でいつまでも元気に美しくありたいですね。
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