第九回 入新井クリニック 古賀実芳先生


略歴
氏名: 古賀 実芳(こが みほう)
入新井クリニック 古賀実芳先生
学歴 東京慈恵会医科大学卒業
略歴: 東京慈恵会医科大学形成外科学講座、平成3年より漢方専門クリニック勤務、神奈川リハビリテーション病院東洋医学科(漢方・針灸)など経て、現在、当クリニックの他、たかみざわ医院(横浜市日吉)漢方外来、日本医科大学東洋医学外来を担当。
日本医科大学東洋医学科医局長。日本東洋医学会専門医。日本アロマセラピー学会認定医。

ナビゲーター:奈美

明けまして、おめでとうございます。
2006年も漢方ナビでの私の奮闘に期待してくださいね!
ところで、みなさんのお正月はいかがでしたか?私は、仕事を持ち帰り、家がオフィスになったような…私の周りには、けっこうこういう人が多いかも? でも、友達に会えたし、家族とも過ごせたので、いい正月だったかな。
本年も漢方ナビを、どうぞよろしくお願いします。

さて、今年最初に訪問するのは、東京都大田区にあります、学校法人後藤学園付属医療施設入新井クリニックの古賀先生です。
入新井クリニック 外観・受付


古賀先生にインタビュー
先生: 新年会疲れがたまっている状態だけど、大丈夫かしら?気軽な取材って聞いていたのですが?
ハハハ!!先生、そうですよ!診療方針や漢方を使っての治療について、わかりやすくお話いただき、少しでも一般の方達に漢方を身近に感じてもらおうというのが漢方ナビのねらいです。ですから、気軽にお話ください。
では、診療方針を聞かせていただけますか?
先生: そうですね〜、診療方針は、患者さんが訴えてくる「つらい」という状態を治して差し上げて初めて治療の効果があったといえると思っていますので、「つらい」ことを少しでも多く、少しでも早く、楽にして差し上げること、でしょうか。
そして、病気があってもイキイキと視野を広く持って楽しく生活するお手伝いができれば、と思っています。

例えば、糖尿病の治療中に、検査値が良くなっていても足の裏の違和感は変わらないと訴える患者さんがいます。検査値は確かに大切なのですけれど、私が心がけているのは、検査値が良くなっているから治療は成功している、と考えるのではなく、患者さんがその症状についてどう感じているのか?今の治療について満足しているのか?を大切にして常に確認しながら、治療を進めているつもりです。
データを診るのではなく、患者さん自身を診るということなのですね。先生が漢方医を志されたのは、何かきっかけがあるのでしょうか?
先生: 学生時代の臨床実習で、痛みを訴える患者さんを担当したときのことです。
検査しても何もわかりませんでした。そして、治療法の検討会のときに、自分なりの見解としてまとめ、発表したのですが、そのときに講評された先生の第1声が「患者さんが嘘をついているとは考えなかったのですか?」であったことに、ショックを受けまして…。
検査結果には出ていないのだから、本当に痛いのか?疑って診ることも必要だということを教えてくださったのだと、今はわかるのですが。

私の父は田舎で開業している整形外科医なものですから、ペインコントロールの必要な患者さんが多くいらっしゃって、患者さんが訴える痛みについて何とかならないかといつも悩んでいる父の姿を見て育ちましたので、簡単に、「患者さんが嘘をついているのでないか?」と考えることにひどく傷つきました。
そんなこともあって、卒業後は、治療の効果を判定する際に患者さんの満足度が占める割合の大きい形成外科を選んだのです。

形成外科では、治療方針を患者さんと相談して決定していくことや、治療経過中に患者さんの感想や希望を聞く姿勢を学びました。そんなときに漢方に出会いました。漢方のことを知るにつれ、これが、患者さんのつらいところを取ってあげることを第1に考える医学ではないか!と思うようになり、のめり込んでいったのです。

漢方は、なんとなく誤解を受けている感じがするのですが…「証」にピッタリあったものを医療機関で処方してもらえれば、こんなにすばらしいお薬はないと思うのです。
実際、私もお世話になっていますし…漢方でも苦手とする部分はあるとは思いますが…先生、漢方のすばらしさについて教えていただけないでしょうか?

先生: 確かに、漢方は不確定な要素も多く、杓子定規に線を引くことはできないかも知れません。
ですが、それは西洋医学と言いますか、科学という視点で捉えるからであって、人間から…と言うか、治療を受ける側からすれば、杓子定規の線引きが良いとは言えない面もあるのです。明治の近代化のときに、近代化イコール西洋化と勘違いしてしまったために、西洋科学の視点に合わないものは怪しい!と誤解されてしまったのではないでしょうか。

東洋医学は、古くから我々の先人が作り上げてきた理論に則った学問で、長年の実践も伴っている医学であり、身体に出ている症状を全てまとめて考えて、体の中で起こっていることを明らかにするという考え方なのです。西洋医学は、細かく原因をひとつひとつ分析してからそれを統合するという考え方なので、視点が違います。
東洋医学は、人の訴え全部をまとめて対処できるという意味で、すばらしい学問だと思います。目に見えるものだけではなく、その奥にあるものは何か?という意識を常に持っているから漢方医学は、患者さんに安心を与えることができ、満足していただけるのではないかと考えます。

東洋医学は、人間そのもの…と言いますか、その人自身を診ているということですね。

先生のことを伺いたいのですが…
今日は、先生の情報を事前に入手してきました…先生の座右の銘は、「思い立ったが吉日」「笑う角には福来る」「人生に偶然は無い」ですよね。
これは、どのような思いからなのでしょうか?

先生: 「思い立ったが吉日」はですね…何か思いつく、というのは強い感性に依るのではないかと思うので、その感性や啓示を大切にしたい、という気持ちです。
お薬を選択するときでも、ふっ、とひらめくことがありますよね。それから、患者さん自身が「これを飲んでみたい!」と仰ることがあります。こういうのは試して頂きたくなっちゃいますね。そうすると効くんですよ、こういうの!

後から検証すると「なるほど」と思えるので、ただの当てずっぽうではないみたい。ま、ちょっとせっかちなところもあるので、私の性格を正当化しているともいえるかしら。

漢方は、長く飲み続けないと効果がないように言われることもあるけれど、長く飲むものでも、すぐに効果を実感できることが多いのです。例えて言うなら、エレベーターが最初に動き出すときに感じる、「あ!動いた!」というような感じとでも言いましょうか?
この感じを早く患者さんに感じて頂きたくて、治療においても、これは!と思うことは、なんでもやってみたくなる方ですね。
思いついたことは、即!実行!って感じですか?
先生: なかなか最近はおしりが重くなって、そうとばかりは言えないことも多いのですが…最近はこの言葉で自分のお尻を叩いているところもあるかなぁ。でも、思いついたことをやらないと気分悪いですね。
先生は…かなり、「せっかち」なのですね!
次の「笑う角には福来る」はどうですか?
先生:

「笑う」ってとても素敵なことですよね。漢方でも「笑う」というのは、気のめぐり、血のめぐりをよくして、健康にとても役立ち、治療においても大変効果があると考えています。
病気がだんだんよくなっていく患者さんの笑顔には、私も元気をもらいます。笑っていると、自然と周りも幸せな気分になりますものね。

やっぱり、漢方の考え方は奥が深いというか…そして、「人生に偶然は無い」というのは…
先生: ものごとは、全て必然だと思っています。いいかげんな出会いや縁はないと思うのです。患者さんにとっても、私にとっても、何か縁があっての出会いであると思いますし、今こうやってお話しているのも何かの縁だと思います。
お互いにプラスになることがあるから、出会っているのだと思うようにしています。
次にお伺いするのは、漢方ナビファン(と言いながら…私)が大変楽しみにしている質問ですが、先生の趣味は何ですか?
先生: そう言えば、思い出しました!最初お話をいただいたときは、趣味を聞く程度ですから…って、聞いていたのですよ!
そうです!ここからは、力をさらに入れていきたいと思います!
先生: でも残念ながら「趣味」いえるものがあんまり無くて…。
昔は、地図を見ながら車であちこち行ってみることでした。夜中とか早朝とかが好きで…。最近は、家庭があることを自覚してきたのでできなくなってしまいましたが…
あ・・あの・・ド・・ド・・ドライブですよね〜??ちなみに、車種は何に乗っていたのですか?
先生: 学生時代から、ソアラに乗っていました。
今は、主人の普通の「ご家族向け」乗用車に乗っています。運転するときは人が変わるっていわれるんですけど、自分では自然体のつもりなんですよね。

あ!趣味ですよね…今は、子供のことでしょうか。こんなことを言うと子供に嫌がられそうですけれど。子供がいるから経験できることとか、子供がいるから行く場所とか、普段の生活とは違う世界に身を置くのは、それだけでストレス解消ですね!子供を差し置いて、あっちこっち行ってみたくて、子供に付き合ってもらっている感じかも。

子供といると、いろいろな発見があって、「事件」が次々起こって大変なことも多いけど、面白いですね。「母親学」を伝授してくださる患者さんも多いのですよ!
は〜…でも、お子さんにとっては、すごく楽しいお母さんですね!!
先生は食べ物について、趣味といいますか、何かこだわりはありますか?
先生: 基本的に、食材には気を使っています。できるだけ大切に心を込めて作られた物を頂くようにしています。
育つ段階でも調理される段階でも良いのですが、心を込めて愛情を持って作られた、というのが「スローフード」という言葉の真髄だと思っています。大切に育てられた野菜なんかは茹でただけでもとてもおいしいですよね。料理下手の私には必須です。
家族の希望でお肉より、野菜とお魚が多いですね。
最後に、これから先生が目指す医療とは、どのようなものでしょうか?
理想にする医療とでも言いますか…
先生: まずは、東洋医学の考え方をもっと医療に取り入れるように広めていくことですね。
医者が、西洋医学の治療を選択するにしても、東洋医学的な視点も併せ持って患者に接する治療ができればということです。

それから、この考え方は、収支的に合わない考え方かもしれないのですが、今のように、患者さんが複数の科をまわるのではなくて、それぞれの科の専門の先生方がチームを組み、医者の側が患者さんの側に出向き、訴えに耳を傾けるというのが理想ではないかと思っています。
患者さんが複数の科をまわる状況においては、各科なかなか連携が取れていない実状もあり、リアルタイム性にかけてしまいます。各科の先生方も連携を取るべく、努力されてはいますが。どうしても、今のやりかたでは、各科の連携がうまくいっているとは思えません。
それに、各科毎に薬を処方しますので、薬の量も多くなる傾向にあり、その副作用で、かえって体調を崩すという可能性を秘めています。できれば、初診だけでも専門の先生方のチームが、患者さんの訴えを聞くという体制があれば理想的ではないかと思います。
情報を共有することで、治療を一本化することにもつながると思うのです。それが「病人を治す」ということではないかと思います。
それは、西洋医学、東洋医学の枠を超えてということですよね?
先生: そうです。今でも漢方を西洋医学の先生方に理解していただくのは、かなり苦労することがありますが、漢方を学んでいる学生や医師が多くなってきていますので、これからの医療現場では意識が変わるでしょう。
私は東洋医学会が出来た後の世代ですからそれでもやりやすかったのですが、それ以前の先生方は、本当に苦労されたと思います。
先日も東洋医学については、日本より、むしろアメリカのほうが積極的だとお聞きし、不思議な気がしました。
先生: 漢方を全く新しい代替医療として捉え、なんの先入観もないので、役に立つか否かの基準だけで考えているのでかえって理解を示しているのではないかと思います。本当によいと思えるものには、しっかりとした予算も付けて国を挙げて研究しているようですね。
私も、ひとりでも多くの人達に、漢方の魅力的な世界をお伝えするために、頑張りたいと思います。今日は、ありがとうございました。
先生: どういたしまして。もう、終わりですか??


取材後記
今年最初の滑り出しは、最高!!古賀先生は、華奢な身体にパワーを秘めた、医療に情熱を持った先生で、インタビューも後半にいくほど、盛り上がりました。もの事に対しての考え方が柔軟で、私もすごく勉強になりました。
さあ!!今年も、どんどん取材に行きますよ〜!!楽しみにしていてください!!

今回取材させていただいたのは、
学校法人 後藤学園付属医療施設 入新井クリニック
〒143-0016 東京都大田区大森北4-1-1
TEL: 03-5767-6651
詳細は
http://www.lifence.ac.jp/treat/clinic/
をぜひ、ご覧下さい。

※本文内の情報等は掲載時のものです。
  現在の状況とは異なる場合がありますので予めご了承ください。

ページトップへ

漢方のことなら「漢方ナビ」!お近くの漢方医が探せるほか、漢方専門の先生をご紹介します。